データ移行は何を照合する?件数・金額・関連データの確認表

システム開発・連携 · 実務ガイド
データ移行は何を照合する?件数・金額・関連データの確認表
業務システムを入れ替える経営者・担当者が「移した件数は同じなのに、金額や注文の中身が違う」と困ったら、件数・金額・データのつながりを別々に確認します。件数が合うだけでは、移行の確認は終わりません。
この記事では、2注文・3明細の架空例で、単価の誤りと明細の付け違いを見つけます。移行前の基準を残し、差分と確認担当を記入できる照合表を作れます。

この記事でできるようになること
- 移行前後で比べる対象と時点をそろえられる
- 件数・金額・関連データの違いを見つけられる
- 差分を記録して、業務で使えるか確認できる
01 / システム開発・連携
どのデータを、どの時点で比べる?
移行担当者は、対象期間・注文の状態・締め時刻をそろえ、基準となる旧データを保存します。

経営者が「全部移して」と頼んでも、担当者によって対象は変わります。完了した注文を含むのか、取り消した注文を含むのか、添付ファイルも移すのか。まず業務担当者と移行担当者が、対象の一覧と比較する時点を決めます。対象が違うまま件数を比べても、違いの原因は分かりません。
架空例では、10月8日18時時点の注文M031・M032と、その3明細を対象にします。M031は2明細、M032は1明細です。旧データの書き出しファイル、項目の説明、抽出条件を同じ場所へ保存し、比較の途中で元のファイルを上書きしません。
締め時刻の後にも注文が増えるなら、その追加分は別の表に残します。比較中の新規注文を片方だけへ足すと、正しい移行でも件数が違って見えます。取り込む順序と追加分の扱いは切替計画で決め、本稿の照合表には対象外のデータも明記します。
業務担当者へ対象期間と注文の状態を確認し、照合表の「対象・基準時点」欄へ記入してください。
この章の根拠:出典1
02 / システム開発・連携
件数が同じなら、すべて移せた?
件数を比べた後に、注文番号と明細番号の組み合わせで欠落・重複を調べます。

旧システムの注文が2件、新システムも2件という結果は、最初の確認です。M031を2回移し、M032を移していなくても件数は2件になります。担当者は合計だけを見ず、注文番号ごとの一覧を照合し、旧側だけ・新側だけ・重複した番号を分けます。
明細の番号が注文ごとに1から始まるなら、明細番号だけでは識別できません。この例では「M031・L1」「M031・L2」「M032・L1」を組み合わせて比べます。移行時に新しい番号を付ける場合は、旧番号と新番号の対応表を残し、その対応から照合します。
表計算で確認するときも、番号を文字として扱うか決めます。0012が12へ変わると、表示が似ていても照合方法によって違いが出ます。データベースの主キー・一意性制約は識別を助けますが、移行担当者が対象を取り違えたことまで自動で解決する仕組みではありません。
| 対象 | 旧 | 新 |
|---|---|---|
| 注文 | 2件 | 2件 |
| 明細 | 3件 | 3件 |
| 番号ごとの一致 | 基準一覧 | 欠落・重複も照合 |
移行担当者へ旧新の番号一覧を依頼し、照合表の「件数・番号の差分」欄へ違った番号を記入してください。
この章の根拠:出典2
03 / システム開発・連携
3明細がそろっても、金額が違うのはなぜ?
業務担当者は、同じ税・値引き・端数処理の条件で、明細ごとと注文ごとの金額を比べます。

架空例のM031は、商品Aが10個・単価1,000円、商品Bが5個・単価2,000円です。M032は商品Cが4個・単価500円です。税と値引きを含めない明細金額は、10,000円・10,000円・2,000円で、対象全体は22,000円になります。
新システムで商品Bの単価が2,200円になると、明細数は3件のままでも全体は23,000円です。差の1,000円を、注文M031の明細L2までたどれれば、担当者は何を直すべきか説明できます。合計だけを直して帳尻を合わせず、数量・単価・計算方法を元データから確認します。
金額を比較するときは、税込か税抜か、値引きをどの欄へ入れるか、端数を明細ごとか注文ごとかで丸めるかも合わせます。商品や単位が違う数量を意味なく合計しません。合計が偶然同じになる誤りもあるため、全体の金額と明細ごとの内容を両方確認します。
| 明細 | 旧の金額 | 新の金額 |
|---|---|---|
| M031・L1 | 10,000円 | 10,000円 |
| M031・L2 | 10,000円 | 11,000円 |
| M032・L1 | 2,000円 | 2,000円 |
経理担当者へ税・値引き・端数の条件を確認し、「金額の差分」欄へ注文M031・明細L2・差1,000円を記入してください。
この章の根拠:出典1
04 / システム開発・連携
金額まで合っても、明細が別の注文に入ったら?
担当者は、明細・顧客・添付ファイルが正しい親データにつながっているか確かめます。

全体の件数と22,000円が合っていても、M031の明細L2をM032へ付けてしまうと、顧客へ出す内容は変わります。旧側ではM031が20,000円、M032が2,000円なのに、新側ではそれぞれ10,000円・12,000円です。全体の合計だけでは、この付け違いを見つけられません。
移行担当者は、明細の親となる注文番号と、注文の顧客番号を比べます。添付資料がある場合も、ファイルが存在することと、正しい注文に付いていることは別の確認です。ファイル名が同じでも内容が違う場合があるので、重要な資料は対応表と実際の表示で確認します。
外部キーは、存在しない注文への関連付けを防ぐ仕組みです。ただし、存在する別の注文へ付けてしまった場合は、制約を満たすことがあります。業務担当者が元の注文と新しい画面を見比べ、品目・顧客・資料の対応を確かめる工程を残してください。
業務担当者へ注文M031の元資料を渡し、「関連データ」欄へ正しい明細・顧客・添付資料との対応を記入してください。
この章の根拠:出典2
05 / システム開発・連携
違いを見つけたら、何を記録して直す?
担当者は違いを一覧へ残し、原因・修正方法・再確認結果をそろえて業務責任者へ渡します。

差分表には、対象番号、旧の値、新の値、違った項目、確認担当、対応状況を書きます。「金額が変」では原因を共有できません。「M031・L2の単価が2,000円から2,200円へ変わった」と残すと、移行担当者が変換処理と元の項目を調べられます。
修正は、新システムの本番データを思いつきで書き換える作業にしません。提供会社と、変換処理を直して取り込み直すか、決めた範囲だけ直すかを相談します。新側に追加された注文がある場合は、その記録を失わない方法が必要です。本稿では破壊的な削除や再取り込みを実行しません。
修正後は、直した明細だけでなく、影響する注文金額と関連付けも再確認します。未解決の差が業務へ与える影響を業務責任者が判断し、利用開始の可否を記録します。バックアップがあることだけを理由に進めず、復元方法と対象範囲も提供会社へ確認してください。
提供会社へ差分表を渡し、「対応・再確認」欄へ修正範囲、担当者、確認結果、利用判断を記入してください。
この章の根拠:出典3
06 / システム開発・連携
まとめ:件数・金額・つながりを、同じ基準で確認する
移行の確認は、件数の一致から始め、金額と関連を照合し、差分の解消と利用判断まで記録します。

データ移行で取り戻したいのは、単に同じ行数が並ぶ状態ではありません。担当者が以前と同じ注文を見つけ、正しい金額と資料で仕事を続けられる状態です。件数・金額・関連の3つに分けると、何が確認済みで何が残っているかを経営者も把握できます。
この記事の架空例は2注文・3明細です。自社では注文数、対象期間、税や値引き、添付資料の種類が増えます。先に比較条件を決め、代表例で照合方法を確かめてから対象全体を確認してください。代表例の合格だけで、全件の移行完了と扱わないことが大切です。
まず業務担当者と移行担当者に、基準の旧データと抽出条件を依頼してください。下の照合表へ、対象・基準時点・件数・金額・関連・差分を記入します。未確認の項目が残る場合は、誰が何を確かめるかを決めてから利用開始の判断へ進めます。
移行責任者へ未解決の差分を渡し、照合表の「利用開始の判断」欄へ可否と理由を記入してください。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


