卸売業のDXはどこから?分納と残りの注文を追う受発注表の例

DX・業務改善 · 実務ガイド
卸売業のDXはどこから?分納と残りの注文を追う受発注表の例
「一部納品した注文の残量と次の納期が、営業と倉庫で違う」。卸売会社の経営者へ、受注明細に複数の納品を結び、残量の根拠と未確認の納期を追う方法を解説します。
架空の注文W031を、受注20ケース・納品13ケース・残り7ケースへ整理します。返品・取消・単位違いも確かめ、営業と倉庫へ渡せる分納管理票を作れます。納期の確認先も明記します。

この記事でできるようになること
- 注文1件から複数の納品と残りの数量をたどれる
- 返品・取消・単位違いがあっても、数量の根拠を分けられる
- 営業と倉庫が同じ残量と確認済み納期を使う表を作れる
01 / DX・業務改善
一部納品した注文を「完了」にしていない?
受注の明細と納品の履歴を分ければ、まだ届けていない数量が見えます。

架空の卸会社では、営業が注文W031の部品Aを20ケース受け、倉庫が先に8ケースを納品しました。受注表に「納品済み」とだけ書くと、8ケース届いたのか20ケース全部届いたのか分かりません。経営者は、取引先へ残りを説明できることを今回の完成条件にします。
注文の1行には明細番号L1を付けます。部品Aと部品Bを同じ注文で受けても、L1とL2なら納品を区別できます。納品記録には注文番号、明細番号、納品日、数量、単位、確認資料を残します。顧客名だけで結ぶと、同じ顧客の別注文と混ざる可能性があります。
国土交通省の物流標準化は、関係者で情報をつなぐ背景として参考になります。ただし本稿の分納表は卸会社向けの架空教材で、公的な指定帳票ではありません。自社の取引条件と、相手先が使う注文・納品番号に合わせて項目を決めてください。
営業と倉庫へ分納した注文1件の注文書と納品記録を依頼し、「注文・納品の参照元」欄へ保存先を記入してください。
この章の根拠:出典1
02 / DX・業務改善
20ケースの注文、8と5を届けたら残りはいくつ?
納品済み13ケースを受注20ケースから引くと、残りは7ケースです。

架空のW031・L1では、10月7日に8ケース、10月9日に5ケースを納品しています。納品済みは8+5で13ケース、残りは20−13で7ケースです。受注表の残量だけを手で直すのでなく、この計算の元になる納品2件へ戻れるようにします。
出荷した数量と相手先が受け取った数量を同じ意味にしない会社もあります。自社で「納品済み」に数える時点が出荷、到着、検収のどれなのかを営業と倉庫が合意してください。この例は確認済みの納品数を使い、出荷途中の数量は別状態で扱います。
表計算で始める場合も、注文と納品の番号が一致すること、数量が空欄でないことを確認します。PostgreSQLの資料にある識別子と関連の整合性は、システム設計の参考になります。Excelへ番号を入れた時点で誤入力や重複が自動的に防げるわけではありません。
| 記録 | 数量 | 根拠 |
|---|---|---|
| 受注 | 20ケース | 注文書W031のL1 |
| 納品D1/10月7日 | 8ケース | 確認済み納品記録D1 |
| 納品D2/10月9日 | 5ケース | 確認済み納品記録D2 |
| 残り | 7ケース | 20−8−5 |
倉庫担当へ納品済みの数量と単位を確認し、「受注数・納品済み・残量」欄へ同じ単位で記入してください。
この章の根拠:出典2
03 / DX・業務改善
残り7ケースの納期は、予定か確認済みか?
日付と、その日付を確認した相手・時刻をセットで残します。

倉庫が「10月12日に入る予定」と営業へ伝えた場合、その日付を取引先への確約に変えません。入荷予定と、7ケースを納品できる確認済み日付は別です。配送便や取引先の受入条件も確認してから、営業が顧客へ伝える日付を決めます。
W031の残量7ケースについて、仕入先の入荷予定10月12日、配送手配は未確認と書けば、営業は何が足りないか判断できます。確認欄へ「購買担当が10月9日14:00に仕入先へ確認」と残し、倉庫は配送担当の回答を追記します。空欄の意味も「未確認」と明示します。
日付が変更になったときは、古い日付を消すだけにせず、変更前後・確認者・取引先へ連絡した時刻を残します。受注表を更新しても、相手先への連絡が済んだとは限りません。数量の状態と、納期確認・顧客連絡の状態を別々に見られる形にします。
営業へ次の納期の確認元を尋ね、「納期」欄へ確認時刻・回答・未確認の配送条件を記入してください。
04 / DX・業務改善
返品・取消・単位違いがあったら、どこを直す?
数量を上書きする前に、何が変わったのかを履歴で区別します。

受注20ケースを18ケースへ取り消す合意が成立した場合、変更記録と確認元を残し、受注数を18へ変更します。納品済み13ケースなら残りは5ケースです。営業が勝手に2ケースを差し引くのでなく、取消が確定したか、未確認の依頼かを区別します。
返品2ケースがあった場合は、その返品で注文残量を増やすのか、返金のみで再納品しないのかを取引条件と担当者が確認します。返品数を見ただけで残量を自動的に増やしません。数量の移動と、再納品の義務は同じ情報ではないためです。
1ケース10個の商品なら、納品5ケースと50個は同じ数量になり得ます。しかし商品・包装単位・時期によって入り数が違う可能性があります。注文時点の入り数を確認し、単位換算の根拠を残します。換算条件が不明な納品は集計へ混ぜず、倉庫へ照会します。
返品や取消を扱う担当へ残量を変える条件を確認し、「例外の扱い」欄へ確認した条件を記入してください。
05 / DX・業務改善
営業と倉庫が同じ残量を答えられるか試す
同じ注文を2人でたどり、納品履歴と未確認条件まで一致するか確かめます。

新しい表は、実際の取引先へ返答する前に、架空資料または社内で許可された匿名化資料で試します。営業がW031を探し、倉庫が納品D1とD2を確認し、両者が残り7ケースと同じ理由を説明できることを、完成の確認項目にします。
通常の分納だけでなく、納品記録の重複、入り数不明、取消確認中も試してください。入力が2回届いたときに納品数を2回足すと、残量が誤って小さくなります。納品番号の照合と、重複候補を担当へ返す処理が必要かを表の管理者と確認します。
IPAの要件定義資料は、使う側が業務やデータの要求を整理する参考になります。試行では入力・確認・訂正・集計の時間も記録し、従来の方法と同じ条件で比べます。残量が合ったことと、納期を顧客へ伝えられることを分けて判断してください。
営業と倉庫へ通常・重複・単位不明の3例を渡し、「試した結果」欄へ表の表示と担当者の回答を記入してください。
この章の根拠:出典3
06 / DX・業務改善
まとめ:分納した注文を、残量と次の確認へつなぐ
数量の履歴と納期の確認を分け、同じ注文から説明できるようにします。

卸売業の分納管理では、受注の明細に複数の納品を結び、残量の計算元をたどれることが大切です。W031の架空例なら、受注20ケースに納品8ケースと5ケースが対応し、残り7ケースです。1つの「納品済み」という表示では、この途中の状態が伝わりません。
残りが分かっても、次の納期が確定したとは限りません。入荷予定、配送条件、顧客へ確認した内容を分け、返品や取消では残量を変える根拠を残します。自社の仕事に置き換えるときは、数量を数える時点と単位を最初に決めてください。
次に、分納中の注文1件を営業と倉庫へ依頼し、下のメモを埋めてください。記録が足りない箇所には確認する人と期限を付けます。残量と次の確認先を両者が説明できたら、共有表を試す範囲や、既存システムへ追加する項目を相談できます。
営業と倉庫で分納中の注文1件を照合し、「残量」と「納期の未確認」欄を埋めてください。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


