システム開発のRFP(提案依頼書)の作り方|開発会社へ何を伝え、提案をどう比べる?

システム開発・発注
システム開発のRFP(提案依頼書)の作り方|開発会社へ何を伝え、提案をどう比べる?
今回頼む範囲と完成の確認方法を依頼書へ書き、各社へ同じ条件の提案を求めます。
社内の仕事を変えるシステムを頼みたいのに、開発会社ごとに提案する機能や見積の範囲が違い、どこを比べればよいか迷っている。そんな経営者・業務責任者に向けた記事です。発注前に決めたいのは、変えたい仕事と今回頼む範囲、そして何ができたら完成と確かめるかです。
RFPは、開発会社に提案を求める依頼書です。各社が同じ仕事について答えられるよう、目的・利用者・資料・対象範囲・完成の確認方法をそろえます。この記事では、営業と現場が見積依頼の状況を確かめる架空のシステムを例に、何を含め、何を含めず、運用や費用・日程をどう回答してもらうかを説明します。


01 / 目的
開発会社へ最初に伝える、誰のどの仕事を変えたいか
提案を求める前に、現場で何に困り、誰が何を確かめられる状態にしたいかを書きます。この目的が、後で機能や完成条件を決める基準になります。
「管理画面が欲しい」ではなく、「誰が、どの依頼の状況を確かめられるようにするか」を書きます。

架空のQ017は、商品Aを10個、10月20日までに出荷してほしいという見積依頼です。営業は受付表とメールを行き来し、現場の担当や回答状況を調べています。
目的は「営業と現場が、同じ依頼番号から担当・元資料・確認状況を見られること」です。営業が1件を開くと、材料と製作予定の確認を誰に頼み、回答が届いたかが分かる状態を目指します。
営業・現場・責任者が現在の道順と資料を確かめ、経営者が目的と予算を判断します。RFPは提案依頼で、仕様や契約の確定ではありません。提案後に、実現方法と役割・取引条件を双方で合意します。
担当者に頼むこと営業と現場に依頼1件を見せてもらい、「誰が、何を確かめられるようにしたいか」を1行で書きましょう。
02 / 範囲
今回どこまで作る?対象・対象外・追加案を分ける
目的が同じでも、開発会社が含める作業が違うと見積を比べにくくなります。今回頼む範囲と、人が続ける仕事、別に提案してほしい追加案を区切ります。
受付と社内確認は今回の対象。価格の自動決定や顧客への自動送信は、対象外と明記します。

今回作るのは、手入力の受付、現場への確認依頼、回答と状態、番号検索、変更履歴です。価格は営業が社内ルールで決め、責任者が確認し、営業が顧客へ送る今の仕事を残します。
メールの自動読取り、価格・値引きの自動決定、顧客への自動送信、受注・会計・請求との連携は今回含めません。追加提案は基本の見積と分けてもらいます。
依頼メールや見積案は、許可された社内の保存場所へのリンクを持つ案です。リンク先の閲覧権限も条件にします。新しい仕組みへ資料を保管する案なら、容量・権限・運用を別に確認します。
既存ソフトの設定で目的を満たす案も、同じ範囲で求められます。使える機能や契約を確認し、安い・早いと先に決めないでください。
担当者に頼むこと今回の対象と対象外を並べ、追加案の費用・日程を基本案と分けて回答してもらいましょう。
03 / 記入例
RFPに何を書く?資料・運用・未定事項まで記入する
範囲が決まったら、開発会社が提案するための資料と、完成後の仕事の続け方を集めます。数字や予算が未定の箇所も、何を確認し、何を回答してほしいかを残せます。
目的、利用者、資料、対象範囲、日々の運用を1つの依頼書にします。未定事項には、何を提案してほしいかを書きます。

下の表は、Q017を使った提案依頼書の記入例です。依頼・回答・見積案などの資料は架空の想定。実資料を渡す場合は、顧客情報や金額を必要な範囲に絞り、社内の許可と扱い方を確認します。
人数・同時利用人数・依頼件数・資料量は現場の記録から確認します。未確認なら、確認する担当と時期を残します。架空の人数や相場を自社の予算・性能条件として使いません。
完成後の設定変更、異動時の引継ぎ、保存場所の変更、使えないときの仕事の続け方も書きます。自社の担当と開発会社へ頼むことを分けて提案してもらいます。
予算や開始日が未定なら、同じ範囲の費用と段階別の日程を求めます。前提が未確認の提案は確定見積として比べず、再見積に必要な条件を聞いてください。
| 依頼書の項目 | 今回の記入例 |
|---|---|
| 目的 | 営業と現場が、依頼1件の担当・資料・確認状況を同じ場所から見たい |
| 利用者・現状 | 営業・現場・責任者。受付表とメールで運用。人数と件数は責任者が確認し提案前に共有 |
| 提供する資料 | 情報を伏せたQ017の依頼・受付表・回答・見積案・道順・閲覧編集ルール |
| 対象範囲 | 手入力受付・確認依頼・回答状態・番号検索・変更履歴・社内資料リンク。価格決定・顧客自動送信・受注会計請求連携は対象外 |
| 完成の確認 | Q017の登録検索・番号空欄・未回答と回答・権限を、同じ試験資料と期待結果で双方が確認 |
| 運用・引渡し | 社内窓口は営業責任者。操作説明・設定・バックアップ復旧・データ取出し・障害連絡の役割と費用を提案してほしい |
| 切り替え | 旧受付表を残して試す。移すデータと件数、記録先を切り替える境目、使えないときの戻し方を相談 |
| 費用・日程・回答 | 予算と開始日は未定。初期・月額・保守・追加費用条件と、現場確認を含む日程、未確認の前提を回答してほしい |
人数や件数が未確認なら、社内で誰がいつ調べるかを残します。予算や開始日が未定なら、今回の範囲の初期・月額・保守費用と、現場確認を含む日程を回答してもらいます。見積の前提が未確認の項目には、何が分かれば再見積できるかを聞いてください。
担当者に頼むこと記入例を自社へ置き換え、未確認の人数・件数・運用には担当と確認時期を添えてください。
04 / 受入条件
何ができたら完成?現場が試す操作と結果を書く
依頼書の目的を、完成時に現場が確かめられる条件へ落とします。画面の説明だけで判断せず、使う資料・操作・結果・確認者を開発会社とそろえるための章です。
受入条件は、試す資料・操作・期待結果・確認者を1組にして書きます。

受入条件は、できあがったものを受け取る前に確かめる条件です。試す資料・操作・期待結果・確認者を組にすると、発注側と開発会社が同じ結果を見られます。
この例では営業が受付、現場が回答、責任者が内容確認の状態を記録する案です。実際の閲覧・編集権限は社内ルールから合意します。資料リンクの先も、必要な人が開け、権限のない人は開けないことを確認します。
正常な登録だけでなく、番号空欄、未回答、権限なしも試します。下図と表は試験条件の案で、製品の標準機能や検証済みの結果ではありません。試した版・操作・実際の結果・確認者を残し、修正後は再確認します。
バックアップ・復旧・引継ぎ・問い合わせも別に条件を詰めます。保存対象、復元できる時点、担当と手順を提案してもらい、合意した試験データで確かめます。画面が動くだけで運用の完成とはしません。
| 試す操作 | 期待する結果 | 確認者 |
|---|---|---|
| 架空のQ017と担当・資料リンクを登録し番号で検索 | 同じ1件の依頼・担当・資料・状態が表示される | 営業・現場 |
| 必須の依頼番号を空欄にして登録 | 登録されず、不足項目が表示される | 営業 |
| 未回答のQ017に現場回答を記録 | 未回答と回答済みを区別し、変更担当と日時を残す | 現場・責任者 |
| 権限のない試験利用者でQ017と資料リンクを開く | 依頼・資料を閲覧できない。権限と試し方は事前合意 | 情報管理担当 |
担当者に頼むこと現場担当へ、完成時に試す操作と期待する表示・記録を書いてもらい、開発会社と確認方法を合意しましょう。
05 / 比較・合意
各社の回答はどう比べる?費用の範囲と追加案を確かめる
範囲と完成の確認方法を伝えたら、各社がどこまで含めて回答したかを比べます。未確認事項への質問と、追加案の影響を見て判断する手順を押さえます。
同じ範囲と受入条件について回答を求めます。追加したいことが出たら、費用・日程・確認方法への影響を見て合意します。

各社へ同じRFPの版を渡し、項目ごとに標準・追加開発・非対応・未確認を答えてもらいます。下図のX社とY社の回答は架空の比較例です。未確認を「できる」「費用ゼロ」と解釈しません。
初期・月額・保守と、人数や件数が増えた場合の条件を分けます。操作説明・データ移行・障害連絡・データ取出しを含むかも確認し、現場の試験と修正後の再確認を含めて日程を比べます。
写真添付を追加したい場合は、理由と保存する資料・権限・費用・日程・受入条件への影響を回答してもらいます。発注側の判断者が今追加するか後で検討するかを決め、元の範囲へ黙って足しません。
質問回答や追加で前提を変えたら、各社へ同じ更新版を渡します。双方で採用する依頼書・提案・見積・仕様と役割の版を確かめ、未決事項には担当と決める時期を残します。
提案を並べたら、今回の範囲と完成条件への回答がそろっているかを見ます。操作説明・移行・試験・保守が含まれるか未確認なら、その範囲を先に質問します。基本案と追加案を分けて回答してもらい、同じ前提の費用と日程を比べる材料にしてください。
担当者に頼むこと各社の回答を同じ欄に並べ、未確認と追加費用の範囲を先に聞き、追加案は影響を確かめて判断しましょう。
06 / 次の1歩
まとめ:自社のRFPを作り、同じ条件で提案を頼む
ここまでの内容を、開発会社へ渡す下書きにまとめます。現場の資料から記入し、未定事項と各社への回答依頼を残して、提案を求める段階へ進めましょう。
RFP は、目的・範囲・資料・受入条件をそろえ、同じ前提で提案を求めるために作ります。現場の1件と、完成を確かめる操作から書き始めましょう。

RFPは、各社に同じ仕事と条件で提案してもらうための依頼書です。架空のQ017では、営業と現場が担当・元資料・回答状況を確かめることを目的に、受付と社内確認を今回の範囲へ置きました。価格の自動決定や顧客への自動送信は対象外にし、完成時には登録・空欄・回答状態・権限を確かめる条件を示しています。
自社では、営業と現場に最近の仕事1件を見せてもらい、誰がどの情報を確かめられるようにしたいかを書いてください。7欄の依頼書へ、作る範囲、使う資料、試す操作と期待結果、運用の担当、費用と日程に含めてほしい作業を残します。未確認の数字は確認する担当と時期を、未定の予算や開始日には求める提案を添えます。
各社へ同じ版を渡し、標準でできる部分、追加開発、非対応、未確認を同じ欄で回答してもらいます。初期・月額・保守の費用と、移行・現場試験・修正後確認を含むかを確かめ、追加案は理由と費用・日程・権限・試験への影響を見て判断してください。回答後に、双方が採用する資料の版と役割・仕様・取引条件を合意します。
担当者に頼むことまず1件の現場資料をそろえ、7欄の依頼書へ目的・範囲・完成条件を記入し、同じ版で提案を求めましょう。
開発会社に渡す、提案依頼書の記入例
架空の見積依頼共有システムの記入例です。自社の仕事と資料に置き換え、未定事項は未定と示して提案を求めます。
記入例は架空です。氏名・顧客名・機密本文は不要です。編集内容はこのページ内で扱い、サーバーへ送信しません。
提案の前提を共有する依頼書の下書きです。仕様の確定、開発会社の選定、契約や発注の承認は、回答と合意した条件を確認して別途判断します。
根拠と、参考資料
- IPA:ユーザのための要件定義ガイド 第2版 (確認 2026-10-08)業務部門の利用者が主体的に関わり、業務の要求、システムの要求、要件の管理を整理する考え方。2019 年公開のアーカイブ。今回の記入例や削減効果を保証する資料ではなく、最新製品の仕様も示さない。
- IPA:システム開発の健全化に向けて(2025 年講演資料) (確認 2026-10-08)RFP、提案、要件・仕様の合意を分け、作業範囲、役割、納入物、検査・確認、変更を整理するモデルの考え方。モデル契約の解説。この記入例が契約上十分であることや、特定の取引条件を保証するものではない。
- デジタル庁:デジタル社会推進標準ガイドライン (確認 2026-10-08)政府情報システム向けに、要件定義書と調達仕様書のテンプレートを分けて公開し、実践ガイドブックを参考文書と位置づけていること。政府向けの文書体系。民間企業に同じ調達手続や書式を義務づける根拠ではなく、本文の RFP は独自の架空記入例。
「開発会社に渡す、提案依頼書の記入例」をもとに、今回作る範囲、完成の確認条件、各社へ求める回答で決まらない点を教えてください。自社で進める範囲を整理して相談できます。
提案依頼書の範囲と条件を相談する ↗仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


