一部の人だけ帰れない|仕事の集中と人員計画を見直す

成長戦略 · 実務ガイド
全体の残業は減ったのに、同じ人だけ帰れない。保守業務の経営者・現場責任者が、仕事の集中を調べるための記事です。
- 全体:必要420時間/使える420時間
合計は同じでも、担当ごとの時間は未確認。 - 担当:技能と割当てを確認
代わりにできる人は未確認。 - 教育:40時間は別枠
教える人の通常業務をどう調整するかは未定。
架空の月100→120契約を例に、下の3点を確認し、現場へ渡すメモを作ります。

この記事でできるようになること
- 仕事全体の時間不足と、特定の人への仕事の集中を分けて調べる
- 必要な技能と、代わりにできる人・教える人の時間を確認する
- 採用・育成・外注・範囲の調整を比べ、相談するメモを作る
01 / 成長戦略
売上ではなく、仕事量と必要な時間から考える
人員計画は、仕事を続けるために必要な人数・技能・時期を考えることです。まず、仕事の量を作業時間へ置き換えます。

工数とは、仕事に必要な時間のことです。この保守会社は、売上が20%増えるから人数も20%増やす、とは決めません。月100契約から120契約へ増えると、何の仕事が何時間増え、どの技能が必要になるかを確認します。
同じ人数でも、できる仕事と使える時期は違います。人数の合計だけでなく、必要な技能を持つ人が、その仕事をする時間を確保できるかを見ます。
売上は単価や商品構成でも変わるため、人の仕事量と同じ比率では増えません。用件別の時間から人数を考えると、どの技能が必要かが見えます。 参照資料のOpenStax:Prepare Operating Budgetsで説明される考え方では、営業数量の計画から、生産、材料、作業時間の必要量をつなげて予算を作ります。 以下の数値・表・判断手順は、その概念を応用した独自の架空教材です。
契約数と対象の月を、営業の記録から書きましょう。何の仕事が増えるかも一緒に確認します。
この章の根拠:出典1
02 / 成長戦略
休暇と研修を除いて、働ける時間を出す
「現場:時間と専門技能」と「管理者:休暇・教育後の枠」を分担し、元の記録を確かめます。

この架空例はすべて1か月の時間です。100契約×3時間=300時間に、受付80時間と管理40時間を加えると、必要な時間は420時間。3人の予定480時間から休暇30時間と通常の研修30時間を引くと、仕事に使える時間も420時間です。
現場が用件別の時間と技能、管理者が利用可能時間、経理が人件費と追加支出を確認します。教育の担当と、独力でできる業務の条件を決めます。
計測は繁忙と通常の双方を含めます。最短時間だけを使うと余力を過大に見せるため、例外対応と記録作業を含む範囲を明記します。
仕事に必要な時間と、休暇・研修を除いて使える時間を同じ月で書きましょう。
03 / 成長戦略
合計時間だけでは、仕事の集中は分からない
架空例では「現行の必要時間=420時間」、「不足と教育=60+40時間」です。本文の条件と計算を合わせて読みます。

120契約×3時間=360時間に受付80時間と管理40時間を加えると、必要な時間は480時間です。今の3人が使える420時間との差は60時間。さらに新人を教えるために月40時間を使う期間は、その時間も確保します。本例の40時間は通常研修30時間とは別枠です。同じ研修を二度差し引かないよう、自社では内容を分けて確認してください。
今の三人は通常の必要量で余力がありません。新人の予定時間を丸ごと能力に足す前に、習熟と教える側の時間を差し引きます。
60時間の不足とは別に、必要な技能を持つ一人へ仕事が集中する場合があります。他の人に時間があっても、その仕事をできなければ移せません。この架空例には一人ずつの作業時間や残業の記録がないため、誰に何時間集中しているかは未確認です。
厚生労働省の公開支援事例(事例10)にも、早帰りの取組で全体の残業は減った一方、一部の社員に負担が残った相談があります。出張や帰社後の仕事を分析し、特定の社員へ集まる業務を見直しています。提案されたシフト制は繁忙状況から導入が難しく、見直しが続いた事例です。自社で同じ対策が使えるとは決めず、残る仕事の中身を調べる参考にします。出典2
比較表は横に動かして全ての列を確認できます。
| 項目 | 架空の結果 | 計算・条件 |
|---|---|---|
| 現行の必要時間 | 420時間 | 契約300+受付80+管理40 |
| 120契約の必要 | 480時間 | 契約360+80+40 |
| 不足と教育 | 60+40時間 | 教育40時間は通常研修30時間とは別枠 |
増加後の必要時間を計算し、今使える時間との差を残しましょう。1契約の内容が変わるなら計算を見直します。
04 / 成長戦略
採用・育成・外注を、時期と技能で比べる
選択肢は「継続的な不足:育成を伴う採用を比較」と「一時的な不足:外部枠と範囲を比較」です。未確認の条件は担当へ戻します。

採用、育成、外注、契約範囲の調整を比べます。費用と開始日、品質確認、繁忙だけ必要か継続して必要かを同じ表に置きます。
一時的な不足なら外部対応、継続的な不足なら育成を伴う採用など、期間を合わせます。各案の責任と品質確認を同じ条件で比較します。
仕事時間の記録がない段階では、60+40時間を一人の予定時間で割って、採用人数を確定しません。仕事の集中が原因なら、割当ての変更や代わりにできる人の育成も候補です。教えられる人と開始時期を確認してから、各案を比べます。
比較表は横に動かして全ての列を確認できます。
| 記録する項目 | 架空の記入例 | 誰と何を確認するか |
|---|---|---|
| 仕事量 | 架空の保守会社。月100契約から120契約へ増える見込み。増加する月と契約の内容は営業が確認。 | 営業:増加時期と契約の内容 |
| 現行必要工数 | 現行は契約300+受付80+管理40=月420時間。3人の予定480−休暇30−通常研修30=月420時間。担当ごとの割当ては未確認。 | 現場:作業時間/管理者:休暇・研修 |
| 増加後の必要 | 120契約×3時間+受付80+管理40=月480時間。使える420時間との差は60時間。1契約3時間が変わらない前提。 | 同じ仕事の範囲で必要時間を比較 |
| 不足と教育 | 仕事の不足60時間と、新人を教える40時間(通常研修30時間とは別枠)。集中する仕事・担当・代わりにできる人・教える人の通常業務調整は未確認。 | 現場責任者:技能・割当て・教える時間 |
| 確保する案 | 採用・育成・外注・契約範囲の調整を、開始時期・必要技能・費用・品質確認で比べる。案の選択と担当は未定。 | 経理と現場責任者:費用・時期・品質 |
| 定期の確認 | 必要な作業時間・担当ごとの残業・品質・独力対応を月次で照合。個人別の記録と確認担当は未確認。 | 確認する担当と時期は未定 |
不足する時間とは別に、教える人とその通常業務の調整を書きましょう。仕事の集中と代わりにできる人も未確認のまま残せます。
05 / 成長戦略
教える人の仕事を調整し、一人ずつの負担を確かめる
「新人能力:教育中の時間を控除」と「供給条件:技能の集中を確認」を確認し、計画と実績の差を残します。

新契約の増加時期と育成期間を合わせます。教育中は提供上限を設定し、既存担当の仕事を減らす時間を確保します。
月ごとに必要な作業時間、品質、教育の進み方を確認します。残業は合計だけでなく担当ごとに見て、どの仕事が残ったかを照合してください。契約が増えても一件の仕事の内容が変わった場合は、件数だけで時間を増やす計算を見直します。
新人が一人でできる仕事と、まだ確認や補助が必要な仕事を分けます。教える人には、教える時間と通常業務の両方が必要です。誰の仕事を何へ振り替えるかを決めずに、育成だけを追加しないようにします。
各案を始められる時期と、必要な技能を持つ人を確認しましょう。担当と品質確認が未定なら、条件として残します。
06 / 成長戦略
まとめ:帰れない原因を、確認できる仕事へ分ける
「確保する案:採用・育成・外注・限定」と「定期の確認:残業・品質・独力対応」を記録し、担当と見直し条件を決めます。

人員計画は、人数がそろった時点で終わりではありません。仕事が一人へ戻っていないか、教える時間と休暇を確保できているかを、契約の増減や仕事の内容の変更に合わせて見直します。
今日できるのは、最後まで残る仕事を一つ選び、必要な技能・実際の担当・代わりにできる人を書き出すことです。分からない欄は「未確認」で構いません。何を調べれば割当てを変えられるかが見えると、一人で抱えていた負担を、現場で相談する材料に変えられます。
休暇や教育を削ることを恒常的な供給能力として計上しません。急な欠勤や複雑な用件へ対応する余力を、過去の変動から確認します。
残業の合計に加えて、誰のどの仕事が残ったかを確認する担当と時期を書きましょう。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


