成長に使える資源はどこにある?人・設備・資金・情報の棚卸し

成長戦略 · 実務ガイド
架空の保守会社は契約数を増やす前に、社員、車両、作業道具、運転資金、顧客情報を棚卸しします。社長は名簿や資産台帳の件数を、そのまま成長余力と見なさないようにします。
保有量に加えて使える時期、技能、制約、既存業務の使用量を整理し、成長施策へ配分できる経営資源を確認します。 この架空例では、計算だけでなく準備資料、担当、反例、実行後の照合までを表と記入メモへまとめます。

この記事でできるようになること
- 技術者の余力を「60時間/月」のように具体化します。
- 契約一件の必要を「移動込み6時間」として、条件と一緒に確認します。
- 大口契約や担当変更の時は、資源責任者が使える枠と制約の表を更新します。
01 / 成長戦略
経営資源の棚卸しでは何を対象にする?
保有量に加えて使える時期、技能、制約、既存業務の使用量を整理し、成長施策へ配分できる経営資源を確認します。

架空の保守会社は契約数を増やす前に、社員、車両、作業道具、運転資金、顧客情報を棚卸しします。社長は名簿や資産台帳の件数を、そのまま成長余力と見なさないようにします。
経営資源の棚卸しは財産評価ではなく、実行できる仕事の条件を知るための整理です。所有していても使えない資源や、他社へ依存する資源を分けます。
設備が余っていても使う技能がなければ供給能力になりません。資源の量と組み合わせを調べることで、購入だけでは解決しない不足が分かります。 参照資料の中小機構 J-Net21:事業計画書はなぜ必要かで説明される考え方では、事業計画は、実行の状況を確認し計画を見直すためにも使います。 以下の数値・表・判断手順は、その概念を応用した独自の架空教材です。
「技術者の余力」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「60時間/月」、担当・次の扱いは「既存・研修・休暇を控除」です。
この章の根拠:出典1
02 / 成長戦略
どの資料を誰が確かめる?
「各責任者:資源の使用量と技能」と「経理:支払と入金の予定」を分担し、元の記録を確かめます。

技術者三人の予定時間は月480時間です。既存対応360時間、研修30時間、休暇30時間なら空きは60時間です。車両二台のうち一台は午前中の定期便で使用中です。
各責任者が資源の所有者、利用時間、代替可能性、記録日を記入します。経理は支出予定と入金予定を確認し、使える現金と利益の数字を混同しません。
資源表には利用予定の元となる案件番号を残します。既存業務が増えたとき、どの資源が先に埋まるかを確認できるようにします。
「必要技能」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「特定担当の枠20時間」、担当・次の扱いは「現場が別に確認」です。
03 / 成長戦略
試算から何が分かり、何が言えない?
架空例では「人の余力=60時間/月」、「技能の制約=20時間/月」です。本文の条件と計算を合わせて読みます。

新契約一件に月5時間を要すると仮定すると、60時間÷5時間で12件です。ただし移動を含まない5時間なら、片道30分の往復を加えた月6時間で10件に変わります。
人員数三人ではなく、必要技能を持つ担当の使える時間が上限になります。車両、道具、受付、現金支出も同じ時期に用意できるか確認します。
空き時間がある一人だけが必要資格を持ち、月20時間しか空いていない場合は、その担当が制約です。三人の合計60時間を等しく使えるとは考えません。
比較表は横に動かして全ての列を確認できます。
| 項目 | 架空の結果 | 計算・条件 |
|---|---|---|
| 人の余力 | 60時間/月 | 480−360−30−30 |
| 移動込み | 10件/月 | 60時間÷6時間 |
| 技能の制約 | 20時間/月 | 合計と別に確認 |
「車両の利用条件」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「一台は午前の定期便」、担当・次の扱いは「利用予定を照合」です。
04 / 成長戦略
どの選択肢を進め、何を保留する?
選択肢は「時間で見る上限:60時間÷6=10件」と「技能で見る上限:専門担当20時間を確認」です。未確認の条件は担当へ戻します。

資源を保有、確保予定、未確認に分けます。貸与品や外注先の枠は約束された範囲を記し、会社が自由に配分できる資源と区別します。
不足が一時的なら外部の枠を確保し、継続的なら育成を検討するなど期間を合わせます。代替案の費用だけでなく、利用開始までの時間も比べます。
担当の技能や道具の状態が確認できない場合は、対応できると約束しません。棚卸しの未確認欄を埋める担当と期限を先に決めます。
比較表は横に動かして全ての列を確認できます。
| 記録する項目 | 架空の記入例 | 担当・次の扱い |
|---|---|---|
| 技術者の余力 | 60時間/月 | 既存・研修・休暇を控除 |
| 必要技能 | 特定担当の枠20時間 | 現場が別に確認 |
| 車両の利用条件 | 一台は午前の定期便 | 利用予定を照合 |
| 契約一件の必要 | 移動込み6時間 | 担当が範囲を確認 |
| 確保する方法 | 育成・外部枠・限定 | 社長が時期を比較 |
| 更新の契機 | 大口契約・担当の変更 | 責任者が表を更新 |
「契約一件の必要」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「移動込み6時間」、担当・次の扱いは「担当が範囲を確認」です。
05 / 成長戦略
実行後は何を照合する?
「追加工数:移動と受付を含む」と「資源の状態:所有と使用可能を分離」を確認し、計画と実績の差を残します。

社長は新契約に必要な技能と時期を決め、既存対応を守る配分表を作ります。足りない資源は採用、育成、外注、契約範囲の見直しの候補として整理します。
実行後は空き時間の見込みと実際の追加工数を照合します。顧客情報の不足で受付が長引いた場合は、情報の整備も資源準備の仕事へ加えます。
余力は計画上の値で、急な修理や顧客対応に使う時間を含む場合があります。過去の変動を確認して、どこまで約束に使うかを経営者が決めます。
「確保する方法」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「育成・外部枠・限定」、担当・次の扱いは「社長が時期を比較」です。
06 / 成長戦略
判断を引き継ぐために何を残す?
「確保する方法:育成・外部枠・限定」と「更新の契機:大口契約・担当の変更」を記録し、担当と見直し条件を決めます。

資源表は四半期ごとだけでなく、大きな契約や退職予定など条件が変わった時点で更新します。何が足りないかを説明できれば、成長案の範囲を調整できます。
棚卸しの完成は、成長施策に必要な資源と、利用できる資源の差が示された状態です。物の一覧だけで終えず、不足を埋める行動へつなげます。
従業員の健康や休暇を削って余力を作る計画は、持続的な資源の確保になりません。通常の働き方で使える時間を基本にします。
「更新の契機」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「大口契約・担当の変更」、担当・次の扱いは「責任者が表を更新」です。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


