成長の仮説をどう並べる?根拠・確かめ方・反証を残す一覧

成長戦略・実務の記入例
新しい小口配送を始めるなら、頼みたい会社がいるか、現場で回せるか、かかるお金が見合うかを確かめます。相談があったことと、有料注文が成立したことを分け、分からない条件を記録に残しましょう。
売上の伸びに悩む包装資材会社の経営者と、営業・製造・配送を分担する人に向けた例です。会社、顧客、金額、便数、期間はすべて説明用の架空条件です。

この記事でできるようになること
- 相談と有料注文を分ける
- 月の試算と4週間の実績を分ける
- 試す前の条件と、次の判断をメモに残す
01/成長戦略
新しい配送サービスは、誰が頼みたい?
まずは相談した3社で確かめます。顧客8社全員が欲しいとは決めません。
包装資材を売る架空の会社で、売上の伸びが止まっています。社長は、小口の定期配送を新しく始めたいと考えています。営業と製造の意見を「誰が頼みたいか」「現場で回せるか」「お金が見合うか」の3つに分けて、確かめる準備をします。
既存顧客は8社。そのうち3社から小口配送の相談があります。残る5社はまだ注文していません。相談した3社でも、月8,000円という料金で注文するかは、これから確認することです。
こうした「試して確かめたい考え」を、ここでは仮説と呼びます。J-Net21は、事業計画を考えの整理、実行状況の確認、判断に役立てる考え方を説明しています。この記事では、その考え方を小口配送の記入例で練習します。

まず1件で試しましょう
相談した顧客と、まだ確認していない顧客を分けて書きましょう。
この章の根拠:出典1の適用範囲を読む
02/成長戦略
営業と配送担当は、それぞれ何を確かめる?
営業は料金への反応を、配送担当は追加の時間と遅れを調べます。
営業は3社の相談日、必要な配送頻度、料金を示した後の反応を残します。「相談した」「条件付きで申し込んだ」「有料で継続注文した」は同じではありません。これらを足して、需要の件数を増やさないようにします。
配送担当は、追加の1便にかかる作業時間を測ります。新しい配送だけを見ず、既存の配送が遅れないかも確認します。受付の変更や返品への対応も、時間を使う仕事として記録します。
社長は試す前に、費用と追加作業時間の上限、既存の配送を遅らせない条件を決めます。上限の数値がまだ決まっていなければ、試す前に担当と確認します。記録には日付と、聞き取り・実測などの確かめ方を添えます。

まず1件で試しましょう
営業の相談記録と、配送担当の時間記録の欄を用意しましょう。
03/成長戦略
差6,000円なら、利益が出ると言ってよい?
まだ言えません。受付や返品の対応にかかる費用が入っていないためです。
3社へ月4回ずつ配送するなら、月12便です。1社あたり月8,000円の料金なら、入るお金は月24,000円。1便あたり1,500円の配送費なら、月18,000円がかかります。差は月6,000円です。
ただし、これは3社すべてが注文した場合の月の試算です。有料注文はまだ確認できていません。さらに、受付の変更や返品対応に使う時間・費用は入っていないため、6,000円を利益とは呼べません。
まず営業が、料金を示しても注文したいかを確かめます。配送担当は、追加の仕事にどれだけ時間がかかるかを測ります。好意的な回答だけで、有料注文が成立したことにはしません。

まず1件で試しましょう
入るお金と配送費に加え、まだ算入していない仕事と費用を書き出しましょう。
04/成長戦略
何を先に確認して、何を保留する?
有料で頼みたいかを先に確かめ、追加の時間が分からなければ採算の判断を保留します。
このサービスは有料注文がなければ成立しません。細かい運用や仕組みを作り込む前に、3社へ料金と配送回数を示して確認します。注文が成立した顧客と範囲に限って、試行を準備します。
同じ顧客、提供内容、お金の条件で案を比べます。利用希望があっても現場で回せないなら、提供範囲を狭める案も残します。作業時間がまだ測れていなければ、売上が少し増えそうという理由だけで採算を決めません。
下の判断メモには、未確認の条件と誰が確かめるかを残しています。費用・時間の上限は社長が試行前に決め、確認する期限も担当と記入します。空欄に都合のよい数字を入れて進めないようにしましょう。

まず1件で試しましょう
まだ分からない条件ごとに、担当と確認期限を決めましょう。
05/成長戦略
試してから、予定と実際をどう比べる?
月の試算を、4週間の実績欄へそのまま写さないようにします。
3社へ条件を示し、有料注文が成立した範囲だけで4週間試します。注文していない顧客へ提供したことにはしません。月の収入24,000円・配送費18,000円は計算上の想定で、4週間に実際に起きたことは、別の期間の記録です。
試行中は、実際の便数、料金、追加時間、既存配送の遅れを記録します。受付・返品の対応時間と費用も追加します。利用しなかった理由や対応できなかった条件も残すと、よかった例だけで決めることを避けられます。
試す前に、続けたい結果だけでなく、見直す結果も書きます。有料注文がない、追加時間が決めた上限を超える、既存配送が遅れる場合の扱いを先に決めます。結果を見てから、都合よく上限を変えないようにします。

まず1件で試しましょう
実績用の空欄表を作り、期間と元の記録を添えて入力しましょう。
06/成長戦略
4週間後、続ける・変える・やめるを決める
社長が記録で判断します。変えるなら、まず料金か配送頻度のどちらか1つです。
4週間の試行が終わったら、社長が有料注文、費用、追加時間、既存配送への影響を見ます。結果に応じて、継続、条件変更、終了を選びます。時間や費用が確認できなければ、採算の判断を保留し、確かめる担当と期限を残します。
条件を変えて試すときは、料金と配送頻度を一度に両方変えません。どちらが結果に関係したかを読み取れるよう、変更箇所を1つにします。今回は料金と頻度のどちらを変えるかも、実績を見る前には決めていません。
下のメモには、根拠、分からないこと、確かめる担当、判断日を残せます。3社でうまくいっても、すべての顧客が同じとは限りません。地域や配送条件、既存の取引が違う相手へ広げる前には、改めて確かめます。

まず1件で試しましょう
記入メモへ開始日・判断日・担当を入れ、試す前の条件を共有しましょう。
小口配送を試すための記入メモ
記入例を見てから、空欄メモへ自社の情報を書きましょう。不明な条件は未確認と残し、確認する日・担当・期限を決めてください。
小口配送を試すための記入メモ
- 誰に試す?
- 既存顧客8社のうち、小口配送を相談した3社。残る5社は未注文で、需要ありと数えない。営業が相談日・希望頻度を記録する。
- 有料でも頼んでもらえる?
- 1社あたり月8,000円、月4回の配送を提案する。料金を示した後の反応と有料注文を営業が確認する。有料注文の成立は、まだ未確認。
- 現場で回せる?
- 3社すべてが注文した場合は月12便を追加する想定。配送担当が1便の追加作業時間と既存配送の遅延を測る。追加時間の上限は試行前に社長が決める。現時点で数値は未設定。
- お金は足りる?
- 月の試算:3社×8,000円=収入24,000円。3社×月4回=12便、12便×1,500円=配送費18,000円。差は6,000円。受付変更・返品対応の時間と費用は未算入で、利益は未確認。
- どんな結果なら見直す?
- 有料注文がない、追加作業時間が上限を超える、既存配送が遅れる。費用・時間の上限と既存配送を遅らせない条件を、社長が試行前に決める。時間を測れていなければ採算の判断を保留する。
- いつ・誰が決める?
- 有料注文が成立した範囲だけで4週間試す。社長が試行終了後に、継続・条件変更・終了を選ぶ。開始日・判断日は未設定。変更するなら料金か配送頻度のどちらか1つ。別の地域・条件へ広げる前に、もう一度確かめる。
記入例(CSV)空欄表(CSV)記入例(TXT)空欄メモ(TXT)
印刷用の空欄メモを開く
下の空欄メモを開いて、ブラウザーの印刷機能を使えます。空欄・記入例のHTML、CSV、TXTをまとめて保存する場合は教材一式を保存してください。
小口配送を試すための記入メモ
- 誰に試す?
- ____
- 有料でも頼んでもらえる?
- ____
- 現場で回せる?
- ____
- お金は足りる?
- ____
- どんな結果なら見直す?
- ____
- いつ・誰が決める?
- ____
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


