市場規模はどう計算する?店舗数・利用回数・単価で概算する例

店舗向けの床清掃を新しい地域へ広げたい清掃会社では、経営者や事業企画・営業担当が、対象になりそうな店舗と購入条件を調べます。同じ店舗を二重に数えたり、会社数と支店を含む店舗数を混同したり、清掃回数が不明のまま計算したりすると、根拠を説明できない市場規模の概算になります。
まず営業する地域、対象にする店舗の条件、一回の清掃に含める作業を決めます。集めた店舗情報(原記録)を、店のある場所(拠点)ごとに整理し、同じ店を重複して数えないようにします。そのうえで年間の利用回数と一回の料金をそろえ、確認済みの情報、仮定、調査待ちを分けて計算します。完成させるのは、仮定した回数で買う場合の年間支出の目安と、営業担当が次に確認する事項を残した調査票です。
本稿は架空の清掃会社が北通りの店舗向けサービスを検討する例です。店舗を調べる営業担当、回数・価格の根拠を整理する事業企画担当、次の調査を決める経営者の仕事として説明します。個人事業から企業の新規事業企画まで、店舗ごとの購入を数える場面に使えます。概算を自社の受注・売上予測として扱うには、別の確認が必要です。
市場規模は、誰の何の支出を数えるかから決める
この清掃会社が検討するのは、北通りの一定面積の店舗へ、床清掃を一回ずつ提供するサービスです。営業担当が対象店舗を調べる前に、事業企画担当と地域・店舗条件・清掃範囲・期間をそろえます。本稿では「決めた範囲の店舗が、同じ床清掃を仮定した回数と金額で買うとしたら、年間支出はいくらか」を計算します。

| 決める項目 | この教材の条件 | 混ぜないもの |
|---|---|---|
| 対象 | 北通りで営業する床面積40〜80㎡の店舗 | 範囲外の南通りや、面積未確認の店 |
| 購入単位 | 1店舗の床清掃1回 | 企業1社や従業員1人という別単位 |
| 金額と期間 | 1回税抜1万円、1年間の支出額という仮定 | 税込の価格、月の支出、利益 |
| 基準の回数 | 1店舗あたり年6回という仮定 | 確認済みの購入頻度や注文数 |
| 完成物 | 対象拠点と仮定を明記した条件付き概算 | 地域全体の実測市場額や自社売上予測 |
架空の北通りで、床面積40〜80㎡の営業中の店舗を対象にします。店名、所在地の呼び名、面積、記録、価格、回数は全て説明用です。実在地域を調べた件数や、清掃サービスの相場を示すものではありません。
市場の対象となり得る店と、自社へ注文する店は別です。すでに他社へ頼む店、店内で清掃する店、購入条件が合わない店があるかもしれません。台帳に載ったことだけで、有料購入や自社受注が成立したとは数えません。
SBAの市場調査の説明は、需要、市場の大きさ、地域、代替手段の価格などをそれぞれ確かめる問いを示します。本稿はその問いを、小さな対象範囲の拠点数・回数・単価の票へ置き換えた編集例です。年18万円という教材の計算は、公式資料の統計値ではありません。
原記録を集め、会社数と拠点数を分ける
営業担当が名簿、店舗の公開案内、現地で確認した内容を集めたら、確認日時と根拠を付けて原記録へ残します。同じ店が二つの資料に出てきても、二店舗として足しません。一方、同じ会社が別の場所で営業する本店と支店は、今回の清掃の購入単位が拠点ごとなら別々に残します。

| 原記録/根拠 | 拠点・店舗 | 経営主体 | 地域/面積 | 今回の扱い |
|---|---|---|---|---|
| R01/F01架空名簿 | L01 ひなた珈琲本店 | A | 北通り/60㎡ | 範囲内の候補 |
| R02/F02架空案内 | L01 ひなた珈琲本店 | A | 北通り/60㎡ | R01と同じ拠点。重複して足さない |
| R03/F01架空名簿 | L02 ひなた珈琲支店 | A | 北通り/75㎡ | 別の拠点。候補へ含める |
| R04/F01架空名簿 | L03 こもれび文具 | B | 北通り/50㎡ | 範囲内の候補 |
| R05/F01架空名簿 | L04 あおば書店 | C | 北通り/面積未確認 | 保留。候補3拠点へ足さない |
| R06/F01架空名簿 | L05 かえで用品 | D | 南通り/60㎡ | 今回の地域の範囲外 |
この教材には6行の原記録があります。R01とR02はどちらもL01の本店なので、拠点は一つです。一方、L01本店とL02支店は同じ経営主体Aでも別の場所にある店舗です。今回の購入単位は一店舗の清掃なので、二つの拠点として扱います。
総務省統計局の経済センサスの説明は、事業所と、本社・支社等の関係を分けています。実際の統計を使うときも、企業数なのか事業所数なのかを確認してください。本稿のL01〜L05は統計から抜いた事業所ではなく、数え方を練習する架空のIDです。
六行から重複一行を除くと五拠点です。そのうちL01〜L03は今回の地域・面積の条件に入る候補、L04は面積が未確認なので保留、L05は南通りなので範囲外です。候補は三拠点となります。保留を範囲内と見なしたり、見つからない店を存在しないと扱ったりしません。
自社で行う際は、店舗名だけで同一と決めず、所在地や経営主体など確認できる情報を照合します。ここに掲載した表は、調査を整理するための見本です。相談へ出す資料には顧客の個人情報や非公開の契約実値を入れず、必要な範囲を自社の安全な場所で管理してください。
対象数・年の回数・一回の単価をそろえる
事業企画担当は、営業担当が整理した対象拠点数に、一拠点あたりの年間購入回数と一回の単価を掛けます。数えている店舗と、回数・価格の購入単位が合い、同じ床清掃と期間を表す場合に使います。回数や価格の根拠が不足する欄は、確認できた値と分けて残します。

| 入力 | 値・単位 | 今回の根拠 | 確認できていないこと |
|---|---|---|---|
| 対象候補数 | 3拠点 | 架空台帳のL01・L02・L03 | 実際の地域の拠点数と購入意向 |
| 年間回数 | 6回/拠点・年 | 計算を練習するための仮定 | 各店の有償清掃の回数 |
| 一回の単価 | 10,000円/回・税抜 | 同じ床面積・清掃内容の仮定 | 実見積り、値引き、追加料金 |
| 対象期間 | 1年間 | 年単位にそろえる編集条件 | 実際に利用を始める時期 |
| 推計する支出 | 3×6×10,000=180,000円/年 | 上の三入力による条件付き計算 | 自社の受注、売上、利益 |
基準の仮定は三拠点、各拠点が年六回、一回税抜一万円です。三×六=年間十八回、十八×一万円=年十八万円となります。三店舗の数え方は架空台帳と対応していますが、各店が実際に六回買うという確認はしていません。
一万円には今回の床面積と同じ清掃内容を含むと仮定します。床だけの料金と、窓・設備を含む一括料金を混ぜません。税込と税抜も同じ基準にそろえます。この教材の税抜条件を、実際の消費者向け表示や見積りへそのまま使う案内ではありません。
根拠が見つからない入力は仮定と明記します。公表統計を使うなら、調査年、地域、業種、集計単位、表名と利用上の注意を添えます。e-Statの令和6年経済センサスの入口には調査年・提供分類・地域区分の絞込みがあり、単に検索結果の数字を対象店の数へ置き換えるものではありません。本稿では統計表の数値を採用していません。
仮定を変えて比べ、不明なら計算を保留する
事業企画担当が仮定の影響を経営者へ説明できるよう、ほかの条件を固定し、年間回数だけを変えて比較します。この教材では三候補拠点・税抜一万円を同じにし、年三回、六回、九回の三つを置きます。営業担当から回数の回答がまだない場合は、新しい概算を確定せず調査待ちへ戻します。

| 計算例 | 拠点数 | 年の回数/拠点 | 単価/回・税抜 | 年間回数の合計 | 年間の支出概算・税抜 |
|---|---|---|---|---|---|
| 少ない回数の仮定 | 3 | 3 | 10000 | 9 | 90000 |
| 基準の仮定 | 3 | 6 | 10000 | 18 | 180000 |
| 多い回数の仮定 | 3 | 9 | 10000 | 27 | 270000 |
| 例外 | 変わった条件 | 新しい入力 | 新しい概算 | 次の確認 |
|---|---|---|---|---|
| X01 | 年6回の根拠が確認できない | 年間回数未確認 | (空欄・未確認) | 旧基準18万円を保存し、新しい票は算出保留 |
| X02 | 一回の見積りに窓清掃も含む | 床だけの単価未確認 | (空欄・未確認) | 対象サービスと価格の範囲を照合 |
| X03 | L04が範囲内と確認できた場合を仮定 | 4拠点×年6回×税抜1万円 | 240,000円/年という別の仮定 | 確認前に基準3拠点へ含めない |
| X04 | 企業全体一括の契約額で比べる | 企業単位の価格・回数未確認 | (空欄・未確認) | 3拠点の単価を企業2社へそのまま掛けない |
年間の合計回数は九、十八、二十七回で、支出概算は九万円、十八万円、二十七万円です。これらは購入頻度の感度を見る計算例です。三つが起こる確率、地域の実測平均、予測の誤差幅を示す数字ではありません。三つを合計して市場額にもしません。
次の調査で年間回数の根拠が分からない例外X01なら、新しい票の回数と概算を空欄にし、旧基準の年十八万円は旧版の仮定として残します。未確認を年ゼロ回と入れたり、前回の六回を確認済みとして引き継いだりしません。
L04が面積条件に入ると後で確認できた場合の例外X03では、四拠点×六回×一万円=年二十四万円という別の条件を計算できます。これはL04がすでに確認できたという報告ではありません。回数の変更と対象拠点の変更を分けると、どの仮定で金額が動いたかが追えます。
企業一社で全店の契約額を決める場合は、一店舗一回の価格とは購入単位が変わります。L01〜L03の経営主体はAとBの二つですが、三拠点の単価を二社へ掛け直して市場額を小さくすることはできません。企業一括の対象範囲と価格を改めて確認します。
市場の概算を、自社の売上予測へ直結させない
経営者は、対象店舗の支出候補と、この清掃会社が実際に引き受けられる仕事を分けて判断します。教材の年十八万円は、三候補が仮定した内容で買う場合の支出概算です。自社の注文、契約、売上、利益を予測した数字ではありません。

| この票で説明できること | この票では分からないこと | 担当が次に調べること |
|---|---|---|
| 候補3拠点と仮定なら年18万円 | 実際に有償清掃を買う店舗数 | 調査担当:内製・既契約・購入条件を確認 |
| 年3/6/9回なら9/18/27万円 | 三つの起こる確率、地域全体の平均 | 確認担当:回数の根拠と期間を照合 |
| L04は面積が未確認で保留 | L04の購入意向や自社受注 | 調査担当:面積と対象条件を確認 |
| 地域とサービスを明記できる | 自社の売上・利益・作業能力 | 責任者:受注条件、現場の能力、費用を別資料で確認 |
自社が一割を取れると根拠なく置き、十八万円×10%を売上計画にすることは避けます。対象店が有料サービスを買う条件、既存の契約、提案への反応、自社が提供できる日時と内容を別に確かめます。支払える条件と、実際に選ぶ条件は同じとは限りません。
自社の売上を検討するなら、受注が成立する状態と数量、価格、提供時期、費用を別資料へ残します。市場の概算が大きくても、現場の時間や対応範囲が足りなければ受けられません。この推計票は契約や設備購入を自動で承認する資料ではありません。
地域全体へ広げる際は、教材の五拠点の構成をそのまま全地域へ掛けません。拾えていない拠点や、営業状況の変化、内製・他社利用を調べる必要があります。小さな範囲で作った仮定と確認手順を、別の地域・業種の実測結果のように扱わないようにします。
まとめ:数えた範囲と、仮定・保留を一組で渡す
営業担当が調べた原記録を拠点へ結び、事業企画担当が同じ期間・購入単位の回数と単価を整理します。経営者へは対象範囲、条件付きの概算、仮定と調査待ちの欄を一組で渡します。数式だけを渡さず、次に誰が何を調べるかを残します。

| 渡すもの | 教材での状態 | 完成の見方 |
|---|---|---|
| 対象地域・サービス・購入単位 | 北通り/店舗の床清掃1回 | 数と単価が同じ購入単位 |
| 原記録と重複の対応 | 6行→5拠点、候補3・保留1・範囲外1 | 元行を消さず、算入理由を追える |
| 入力・式・根拠の状態 | 3拠点/年6回/税抜1万円は架空 | 仮定と確認済みを分けている |
| 感度と例外の別版 | 回数3/6/9、X01・X02・X04は空欄 | 不足を0や旧数値で埋めていない |
| 次の判断と担当 | 購入条件・能力・費用は未確認 | 自社売上へ飛ばさず追加作業が残る |
架空例では原記録六行から五拠点を区別し、候補三、保留一、範囲外一に分けました。三拠点が年六回、一回税抜一万円で買う仮定なら年十八万円です。回数三・六・九の比較は年九・十八・二十七万円となり、実測市場額や自社の売上にはしていません。
渡す資料には対象の定義、原記録、入力の根拠、式、条件を変えた別版、不明で算出しなかった理由をそろえます。数字だけを渡さず、何を確かめると次の判断へ進めるかを担当と決めます。
DREEXYへ新しい対象顧客や集客の相談をする場合は、対象範囲と確認済みの材料、まだ仮定の入力を分けて伝えてください。対応範囲・費用・受付可否は個別に確認します。本稿の推計票を作ること自体を、売上改善の実績として扱うことはできません。
市場規模の概算についてDREEXYへ相談する / 新しい事業の仮説を試す / 需要の波と現場の資源をそろえる / 商品・価格・売り方をそろえる
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


