店舗の徒歩商圏調査|来店経路を確認し、案内と追加調査を分ける手順

地域の小売店・飲食店・美容室など、少人数で一店から数店を運営する会社では、店長や集客担当がチラシ配布、ホームページの道順案内、電話での来店案内も担います。そのとき「近所だから歩いて来られる」と考えても、川を渡る場所が遠い、坂がある、入口が反対側にある、といった事情を見落とすことがあります。
徒歩での来店経路を調べるときは、店を中心に円を描くだけで終えず、調べたい地点から実際の入口まで道をたどり、確認した区間と未確認の区間を分けて記録します。この記事では、店舗責任者と集客担当が、案内に使うための準備ができる経路と、追加調査が必要な経路を整理する手順を説明します。読み終えたら、自店の入口・調査する起点・次に確かめる区間を決め、担当者へ調査票で引き継げます。
商圏とは、店舗を利用する人が来る範囲のことです。徒歩経路の調査は、その範囲を考えるための確認の一つです。道がつながっていても、来店する人数や売上までは分かりません。ここでは、入口までの道の確認と、案内・追加調査への使い分けに絞ります。
- 調査の起点と店の入口を決め、横断場所・橋・坂などで経路を区切ります。
- 地図で見つけた候補と、現地で確認した記録を分けます。未確認は通行可否の結論にしません。
- 入口まで記録がつながる経路は条件を確かめて案内準備へ、途中が未確認なら担当を決めて追加調査へ進めます。
以下の店・地点・日時・観測記録は、手順を学ぶための架空設定です。現地調査や来店実績の報告ではありません。一般的な進め方を読んでから、二つの起点を比べる例と、保存して使える調査票を自店の条件に置き換えてください。
1. 商圏の円だけで決めず、来店経路の起点と入口を決める
店舗の徒歩商圏を考える最初の作業は、「どこから、どの入口へ向かう道を調べるか」を決めることです。円は調査する候補地点を探す目安になりますが、川を渡る場所や入口の位置までは表しません。駅の出口や近隣の公共施設など、案内したい起点を選び、利用する入口までの道を調べます。
架空例:横断場所を通る道と、川を渡る道を比べる
説明には架空の小売店と、その店の南側入口(地図記号E01)を使います。起点はA地点と川の向こうのB地点です。図の横断場所(C01)、橋の出口(H01)、坂(L01)は、後の調査票と照合するための記号で、後の調査票と照合するために付けています。まず図で、起点から入口までの道と、確認済み・未確認の違いを見てください。

| 決めること | 架空の設定 |
|---|---|
| 対象と終点 | 徒歩の起点A/Bから、店の南側入口(E01)まで |
| 円 | 半径500mは比較用設定。実縮尺地図ではない |
| Aの確認範囲 | A→C01→E01。架空の観測条件内 |
| Bの確認範囲 | B→H01のみ。H01→L01→E01は未確認 |
自店では:「駅から」「近隣施設から」など、普段案内する起点を地図に置き、入口の位置を店長とそろえます。建物の中心や住所の表示位置と、お客様が使う入口が同じとは限りません。人数、購入する割合、売上を判断するには、経路とは別の資料も必要です。
500mは説明のための設定です。模式図は実縮尺ではなく、円から道の長さや所要時間を換算しません。場所、記録、日時はすべて架空で、この原稿制作で現地を歩いた結果ではありません。
2. 地図で道の候補を探し、現地で確認する項目を決める
地図では道の候補を探し、現地ではその道を通る条件を確かめます。この二つを分けると、地図上に線を引いたことを「歩いて確認した」と取り違えずに済みます。横断場所、橋の出口、坂、店の入口を目印にし、使用した資料名・版や表示日・見た日を記録します。
架空例では、横断場所C01、橋の出口H01、坂L01、入口E01を同じ記号で地図と調査票に載せます。次の図と表は、地図で見つける候補に対し、現地で何を記録するかを示しています。

| 場所 | 資料から作る候補 | 現地記録に残すこと |
|---|---|---|
| C01 横断場所 | 道路と横断候補 | 当日の通行状況、使った横断場所 |
| H01 橋 | 川を越える候補経路 | 橋を通った範囲と出口 |
| L01 坂 | 坂を含む候補区間 | 確認できた歩行条件、未確認の条件 |
| E01 入口 | 店の南側に置く終点 | 実際の入口と営業時間帯の条件 |
国土地理院の地理院地図には、道順を点と線で描く案内と、点を順に指定して距離を測る公式手順があります。「ツール」から「計測」「距離」を選ぶ手順は公式資料で確かめられます。選んだ点を結んだ線の距離と、当日の通行状態の記録を、同じ欄へまとめないようにします。
自店では:候補経路と使用した地図を保存し、当日の通行状況や入口の利用条件など、現地で確かめる項目を調査票へ書き出します。資料を見ただけの区間は未確認として残してください。この例の資料「模式図v1」は位置関係を説明する図で、実地図の写しや実際の計測値ではありません。
3. 入口までの道を区切り、確認した条件を記録する
現地で確認する道は、横断場所や曲がり角など、後から見直せる目印で区切って記録します。区間ごとに始まりと終わり、確認日時、天候や歩き方、根拠となるメモを残すと、途中に記録の抜けがないかを確かめられます。
架空例のA地点から横断場所C01までをA01、そこから入口E01までをA02と名付けます。二つの区間には、それぞれ観測メモA-obs1・A-obs2がある設定です。日時はともに2026-10-11 10:00 JST、条件は晴れ・通常の徒歩です。場所・日時・記録はすべて教材用の架空設定です。

| 区間ID | 起点 | 終点 | 途中の場所 | 観測記録の状態 | 日時・条件 | 根拠 | 次の扱い |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A01 | A | C01 | 横断場所C01まで | 確認済み(架空設定) | 2026-10-11 10:00 JST/晴れ・通常の徒歩(全て架空) | 架空の観測メモA-obs1 | A02とつなげる |
| A02 | C01 | E01 | 横断場所から南側入口 | 確認済み(架空設定) | 2026-10-11 10:00 JST/晴れ・通常の徒歩(全て架空) | 架空の観測メモA-obs2 | 条件付き案内準備へ |
図と区間票では、一つ前の区間の終点と、次の区間の起点が一致するかを確認します。この例ではA01の終点C01がA02の起点C01と一致し、最後は入口E01です。区間の名前だけあっても、観測記録がなければ確認済みにはしません。
自店では:入口までの区間がそろったら、どの日時・条件で確認した道かを案内担当へ伝えます。Aの記入例は、記録した条件で入口までつながった案内準備の候補です。雨天や異なる歩行条件は未確認で、推測した所要時間を実測値として書くことはできません。実際の来店案内には、自店で取得した記録を使います。
4. 途中が未確認の経路は、次に調べる区間を特定する
一部の道を確認していても、途中の区間に記録がなければ、起点から入口までの判断は保留します。「まだ確認していない」と「通れない」は別です。未確認の始まりと終わりを特定することで、次の調査を具体的に頼めます。
架空例のB地点は円内でも川の向こうです。観測メモB-obs1があるのは、Bから橋H01を通り、橋の出口までのB01だけです。橋の出口から坂L01へのB02と、坂から入口E01へのB03は記録がありません。

| 区間ID | 起点 | 終点 | 途中の場所 | 観測記録の状態 | 日時・条件 | 根拠 | 次の扱い |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| B01 | B | H01 | 橋H01を通って橋の出口まで | 確認済み(架空設定) | 2026-10-11 10:30 JST/晴れ・通常の徒歩(全て架空) | 架空の観測メモB-obs1 | B02は未確認 |
| B02 | H01 | L01 | 橋の出口から坂へ | 未確認 | (空欄・未確認) | 記録なし | 調査担当が確認 |
| B03 | L01 | E01 | 坂から南側入口へ | 未確認 | (空欄・未確認) | 記録なし | 調査担当/店長が確認 |
B02とB03の観測日時・条件は空欄、状態は「未確認」です。未確認は「通れる」でも「通れない」でもありません。図では確認した区間を実線、未確認を破線にし、本文と票にも同じ状態を文字で残します。
自店では:次の依頼に「橋の出口から坂まで」「坂から入口まで」のように、調べる区間の始まりと終わりを書きます。この例ならB02・B03を調査担当が確認し、店長が入口の営業条件を照合します。担当と次の作業を決め、確認日が未定なら未定のまま残します。調査の予定を、確認済みの記録に変えてはいけません。
5. 調査結果を、来店案内の準備と追加調査に使い分ける
調査結果は、来店案内を準備する経路と、追加調査を先に行う経路に分けます。判断の根拠、残る未確認、次の担当を同じ表へまとめると、集客担当がどの道を案内候補にし、店長が何を再確認するかを共有できます。
架空例のAは、記録した条件で入口まで確認した案内準備候補です。Bは橋の後が未確認なので、追加調査を先にします。同じ円内にあることだけで、二つの地点を同じ扱いにはしません。

| 起点 | 入口までの区間 | 確認した記録 | 未確認 | 今回の判断 | 次の作業 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | A01→A02→E01 | A-obs1/A-obs2、晴れ・通常の徒歩(架空) | 他日時/天候/異なる歩行条件 | 記録した条件で案内準備候補 | 店長/別確認者が対応を照合 |
| B | B01→B02→B03→E01 | B-obs1のみ(架空) | B02/B03、全経路の到達 | 到達判断を保留 | 調査担当がB02/B03、店長が入口条件を確認 |
自店では:店長が現在の入口と記録の入口、営業時間帯、経路の状態を確かめてから、道順案内へ使います。チラシの配布先を検討する際も、この票で判断できるのは経路の確認状態です。来店見込みや配布効果には別の情報が必要です。また、確認した徒歩条件を、すべての利用者の通行可やバリアフリーの認定へ広げません。
閉鎖や工事、天候、歩行者の条件が変わったら、該当区間は再確認待ちです。下の別条件例ではC01の工事情報が届いたと仮定し、旧Aの記録は残して、現在のA01/A02の判断をいったん保留します。工事の実在や通行不可を確定した例ではありません。
条件が変わったときの別例
| 記録の版 | 観測/情報 | 現在の判断 |
|---|---|---|
| 旧Aの記録 | 晴れ・通常の徒歩で入口まで確認(架空) | 過去の条件の記録として保持 |
| 条件変更の例 | 横断場所C01の工事情報が届いたと仮定。実地は未確認 | A01/A02は再確認待ち。旧記録で現在の到達を確定しない |
6. 店長と調査担当で確認し、自店の調査票を作る
調査の引き継ぎでは、調査担当が歩いた区間と未確認をそろえ、店長が入口・営業条件を確認します。さらに別の確認者が図と票を読み、入口までのつながりと判断が一致するかを照合します。未確認が残っていても、担当と次の作業が明確なら、次の調査へ渡せます。

| 確認する人 | 受け取る証拠 | 今回の完了条件 |
|---|---|---|
| 調査担当 | 各区間の記録/日時/条件 | 確認した範囲と未確認を区間IDで分ける |
| 店長 | 入口E01/営業条件の情報 | 入口と案内候補が同じ対象かを確認 |
| 別確認者 | 模式図/区間票/判断票 | ID、終点、線種、判定が対応するかを照合 |
架空例では、Aの二つの区間が入口まで連続するか、Bの橋までの記録だけでB全体を確認済みにしていないかを見ます。図の場所・実線と破線、区間票の状態、案内準備と保留の判断を照合してください。
自店では:下の空欄票に目的・起点・入口・観測条件・区間・次の担当を記入します。架空の記入例で欄の使い方を確かめてから、自店の調査記録へ置き換えてください。空欄票・区間票・判断票・凡例も保存できます。実顧客の個人情報は入れず、未確認の欄は残します。ページの入力・コピーは調査記録を外部へ送信する機能ではありません。
自分の調査票を記入する
自社の起点・入口・観測条件へ置き換えます。確認していない箇所は未確認のまま残してください。
保存して使う教材
全て架空教材です。CSVはUTF-8、未確認の日付は空欄のままです。ZIPには同じ7ファイルが入っています。
- route-segments-example.csvを保存
- route-segments-blank.csvを保存
- route-decision-example.csvを保存
- map-id-legend.csvを保存
- survey-example.txtを保存
- survey-blank.txtを保存
- survey-changed-example.txtを保存
- 教材一式ZIPを保存
徒歩商圏調査のよくある質問
半径500mを、どの店でも基準にしてよいですか?
この記事の500mは比較のための架空設定です。自店では案内したい起点と利用する入口から調査する道を選びます。円内という理由だけで、歩いて来られる範囲を確定しないでください。
地図で経路が見つかれば、徒歩時間を案内できますか?
地図で点を結んで測った距離と、現地で歩いた時間は別の記録です。横断待ちや入口までの道も確かめ、実測していない時間を実測と書かないでください。この教材には徒歩時間の実測値はありません。
未確認が残っている場合、調査票を共有してよいですか?
確認した範囲と未確認を区別し、次に調べる区間と担当を付けて共有できます。ただし、入口まで未確認の経路を、来店できる経路として案内する判断は保留します。
この調査だけで、チラシを配る地域や売上を決められますか?
この票は経路の確認状態を整理するものです。配布地域や集客投資の判断には、想定するお客様、地域の情報、過去の反応なども別に確認します。徒歩で到達できることを、来店や購入の見込みと同一には扱いません。
まとめ:自店の入口と起点を決め、次に調べる道を選ぶ
最初は、自店でよく案内する起点と利用する入口を決め、そこまでの候補経路を地図に描きます。横断場所・橋・坂などで区切り、まだ確かめていない区間を一つ選んで、担当と確認項目を調査票に書いてください。起点を二つ比べる場合も、確認した条件と未確認を別々に残します。

| 対象 | 残す判断と次の作業 |
|---|---|
| A→C01→E01 | 架空の観測条件で入口まで確認した案内準備候補 |
| B→H01→L01→E01 | 橋の後のB02/B03が未確認。到達判断は保留 |
| 円内の他の地点 | 経路未確認。円内だけで到達や来店を決めない |
| 条件が変わった区間 | 旧記録を残し、現在は再確認待ちとする |
この例で持ち帰る判断は、入口までの記録があるAは条件を照合して案内準備へ進め、橋の後が未確認のBは追加調査へ進める、という使い分けです。自店でも、道の確認と来店の見込みを分け、工事や入口の変更があれば旧記録を残して再確認します。
DREEXYではマーケティングやDXを含む事業支援を案内しています。店の案内と現場の情報がそろわない相談では、未確認区間と次の担当を残したメモを使って課題を整理できます。対応範囲や料金は個別に確認してください。開発中のYUMEXY紹介は別の関心導線で、この調査や経路判定を現在自動実行できるという案内ではありません。
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