数字を根拠に決めたことをどう残す?データ条件と選択肢の記録

DX · 実務ガイド
二拠点の仕事配分を数字で決めたのに、後から「なぜ別の案ではだめだったのか」と聞かれて説明できない。架空の加工会社の社長が残すべきものは、採用案の数字だけではありません。当時の資料と条件、不採用にした理由を一緒にたどれる記録です。
受注一覧R01・能力表C01から集計版L01を作り、社長の判断D01へ結びます。確定30件の仕事をA40・B20時間に配分した理由と、A45・B15時間案が当時のA枠を5時間超えたことを残します。後で余力が変わっても旧判断は消さず、新しい資料と条件を確認して別の判断として記録する。この流れを、分析担当と両工場長へ渡せる見本で説明します。

この記事でできるようになること
- 問いと確定30件の抽出条件を、元資料R01・C01と集計版L01へ結びます。
- A40・B20時間の採用案とA45・B15時間の不採用理由を、技能・能力の表で示します。
- 社長の決定日、工場長の実行日、10月19日と条件変化時の見直しを記録します。
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データによる判断記録では何を対象にする?
意思決定の問い、元データと版、集計条件、加工、選択肢、採用理由、限界、見直し条件を記録します。
A45・B15時間案を退け、A40・B20時間案を選んだのはなぜでしょうか。後で説明できるよう、当時見た受注一覧、能力表、集計版、二案の採否を一つの判断記録へ結びます。

「来歴」は、資料がどこから来て、誰がどう加工し、判断に使ったかというつながりです。受注一覧R01と能力表C01から集計L01を作り、社長の判断D01へ結びます。グラフだけでなく抽出条件と使った版を残すことで、別の担当も当時の理由をたどれます。W3Cの資料は来歴の概念の参考で、この記録書式を義務付けるものではありません。
架空の加工会社は二拠点の仕事配分を数字で決めました。社長は後から判断を確認できるよう、利用したデータの条件、加工、選択肢、未確認を一緒に残します。
判断記録はグラフの画像を保存するだけでは不十分です。どの資料からどう計算し、何を判断したかをたどれる状態を作ります。
データに基づくという言葉だけでは、判断の根拠を確かめられません。出所、加工、利用のつながりを残すと、訂正の影響が分かります。 参照資料のW3C:PROV-Overviewで説明される考え方では、資料、加工、担当のつながりを記録し、根拠の来歴を追います。 以下の数値・表・判断手順は、その概念を応用した独自の架空教材です。
「対象と元条件」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「確定30件・四週間、仮10件を除外」、担当・次の扱いは「分析担当が受注一覧R01を抽出」です。
この章の根拠:出典1
02 / DX
どの資料を誰が確かめる?
「分析担当:出所と加工を記録」と「経営者:選択肢と採用理由」を分担し、元の記録を確かめます。
確定30件に必要な60時間は、どの資料からどう求めたのでしょうか。受注の状態を確認するR01と、技能・余力を確認するC01を分けて読み、加工後のL01へつなぎます。

分析担当は四週間の確定30件を抽出した条件と、仮予約10件を除外した扱いを残します。両工場長はA専用技能40時間と共通20時間、当時の余力A40・B30時間を確認します。件数と時間は別の単位です。30件を一律2時間の仕事とみなさず、L01に技能分類と集計方法、元資料の版を残してください。
確定30件を四週間で配分し、仮予約10件は除外します。必要60時間のうちA専用技能の仕事が40時間、両拠点で扱える共通仕事が20時間です。余力はA40、B30時間です。架空の元資料は受注一覧R01、能力表C01、抽出・技能分類後の集計版L01とします。
業務責任者が問いと対象、分析担当が元データと加工、経営者が選択を確認します。保存する資料は権限のある範囲で必要なものに絞ります。
集計には抽出条件と単位を付けます。日付の範囲や確定状態が違う資料を、同じ根拠として比較しないようにします。
「資料と加工版」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「R01・能力表C01→集計L01」、担当・次の扱いは「抽出条件・技能分類・修正理由を保存」です。
03 / DX
試算から何が分かり、何が言えない?
専用技能40時間をA、共通20時間をBへ配る採用案は、A40・B30時間の枠に収まります。A45時間案は能力を超えるため不採用です。
合計余力70時間が必要60時間を上回っていても、なぜA45・B15時間案は当時使えないのでしょうか。Aでしか扱えない40時間と、各拠点の枠を分けて比べます。

A45・B15時間案は、A専用40時間に共通5時間を足すため、当時のA枠40時間を5時間超えます。A40・B20時間案なら専用40時間をA、共通20時間をBへ配れ、Bに10時間残ります。この10時間をどの仕事にも使えるとは限りません。翌週A余力が50時間になる仮例でも、同じ受注・期間・技能・他案件の条件かを確かめ、旧案の自動採用にはしません。
必要60時間に対し合計余力は70時間です。共通仕事5時間もAへ寄せたA45・B15時間案はAの枠を5時間超えるため不採用です。A専用40時間をA、共通20時間をBへ配るA40・B20時間案なら両方の枠と技能に収まり、Bに10時間の余力が残ります。
合計値で足りることと、技能を守った配分が可能なことは違います。L01には専用・共通の分類根拠を残します。専用40時間をBへ移せるという未確認の期待を、採用案の前提にしません。
翌週の最新表でAの空きが50時間になっても、以前の判断で見た40時間は消しません。新しい情報で更新した判断として記録します。
比較表は横に動かして全ての列を確認できます。
| 項目 | 架空の結果 | 計算・条件 |
|---|---|---|
| 元の条件 | 確定30件・四週間 | 仮予約10件を除外、R01→L01 |
| 技能と余力 | A専用40+共通20時間 | A枠40、B枠30、C01で確認 |
| 不採用案 | A45・B15時間 | Aの枠を5時間超過 |
| 採用案 | A40・B20時間 | 技能と枠に収まる。B余力10時間 |
「技能と能力」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「A専用40+共通20時間、余力A40・B30」、担当・次の扱いは「両工場長が技能と枠を確認」です。
04 / DX
どの選択肢を進め、何を保留する?
選択肢は「採用A40・B20時間:工場長が10月12日開始」と「不採用A45・B15時間:A枠を5時間超える」です。未確認の条件は担当へ戻します。
判断D01には採用案だけを書けば十分でしょうか。当時の不採用理由と、まだ確かめていない条件を残すと、後から別案を検討するときも同じ出発点へ戻れます。

この架空例では社長が10月10日にA40・B20時間案を採用し、A45・B15時間案の不採用理由をL01と能力表C01へ結びます。10月12日の実行開始と10月19日の見直しは予定であり、完了の報告ではありません。納期・品質・費用・実績は未確認です。元資料や版を追えなければ、社長は結論を保留し、分析担当と工場長へ条件の確認を戻します。
案ごとに使用時間、技能、費用、顧客への影響を同じ条件で比べます。除外した案件や未確定値の扱いを、判断の前提として明記します。
この教材の社長は2026年10月10日に記録D01でA40・B20時間案を採用します。決定理由は技能と両拠点の枠に収まることです。A・B工場長が10月12日から実行し、10月19日に予定と実績、顧客の納期と品質を確認します。
元資料や集計条件が追えない場合は、結論の確度を下げて追加確認します。画像に数字があるだけで、確定した根拠として扱いません。
比較表は横に動かして全ての列を確認できます。
| 記録する項目 | 架空の記入例 | 担当・次の扱い |
|---|---|---|
| 対象と元条件 | 確定30件・四週間、仮10件を除外 | 分析担当が受注一覧R01を抽出 |
| 資料と加工版 | R01・能力表C01→集計L01 | 抽出条件・技能分類・修正理由を保存 |
| 技能と能力 | A専用40+共通20時間、余力A40・B30 | 両工場長が技能と枠を確認 |
| 不採用案 | A45・B15時間 | Aの枠を5時間超過 |
| 採用案 | A40・B20時間、B余力10時間 | 専用技能と両拠点枠に収まる |
| 決定者と決定日 | 社長、2026年10月10日、D01 | 根拠L01と採用理由を結ぶ |
| 実行担当と開始日 | A・B工場長、10月12日 | 配分を案件番号へ結ぶ |
| 見直し条件と日 | 10月19日、能力・技能・品質変化 | A40未満またはB20未満で社長へ戻す |
「不採用案」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「A45・B15時間」、担当・次の扱いは「Aの枠を5時間超過」です。
05 / DX
実行後は何を照合する?
「来歴:資料から計算を再現」と「実績:誤りと条件変化を分離」を確認し、計画と実績の差を残します。
受注一覧の数字を訂正することと、翌週に使える時間が変わることは同じでしょうか。元資料の誤り、現実の条件変化、実行結果を分け、何を直すべきかを確かめます。

受注一覧に誤りが見つかった場合は、元の値、訂正理由、確認者と、新しい集計版を残します。一方、将来Aの余力が50時間になるだけなら、旧C01の40時間が誤りだったとは言えません。当時のC01・L01・D01を残し、新しい期間と資料の版を分けます。実際の訂正や実行結果はここでは未確認で、変更済み・成功済みとは扱いません。
D01に採用配分A40・B20時間、社長の判断日10月10日、A・B工場長の実行開始10月12日を記します。元資料R01・C01と集計版L01を結び、別版へ差し替わらないよう管理します。
実行後は予定と実績、データの誤り、条件変更を分けて確認します。結果が悪かった時に、集計と意思決定のどちらを直すかが分かります。
手作業の修正があった場合は元値、変更理由、確認者を残します。都合に合わせた加工と業務上必要な訂正を区別できます。
「採用案」の欄を自社の記録で埋めてください。架空例の値は「A40・B20時間、B余力10時間」、担当・次の扱いは「専用技能と両拠点枠に収まる」です。
06 / DX
判断を引き継ぐために何を残す?
根拠L01、採用A40・B20時間、社長の決定日、工場長の実行日を結びます。10月19日と能力・技能・品質変化時の見直し条件を残します。
条件が変わったとき、以前のD01を消して最新値だけにしてよいでしょうか。旧判断の根拠を残し、新しい資料と、その条件での判断を後からたどれる形にします。

A余力40時間未満やB余力20時間未満は、採用したA40・B20時間案を見直す合図です。すべての代案が不可能になったという意味ではありません。技能・納期・品質が変わった場合も両工場長から社長へ戻します。A余力50時間の仮例で旧不採用案を再候補にする場合も、分析担当と工場長が対象期間・受注・技能・他案件・納期・品質・費用を確認し、その資料の版に基づく新判断をD01の後続に残します。新たな採用や実行の成否はまだ分かりません。
10月19日の見直しに加え、A余力が40時間未満、B余力が20時間未満になった時や、技能・納期・品質の条件が変わった時は工場長が社長へ戻します。新しい資料の版、判断日、理由をD01の後続記録へ追加し、以前の条件と決定を残します。
記録の完成は、問いから資料、計算、選択、実行までたどれることです。別の担当が同じ集計を再現できるか確認します。
W3Cの来歴の考え方を記録設計へ応用しています。特定の規格実装や認証を中小企業へ義務付けるという意味ではありません。
まとめ:一つの判断から、当時の資料と理由をたどる
まず直近の判断を一つ選び、分析担当と工場長に、元資料の版・対象期間・抽出条件・技能と余力を確認してください。社長は採用案と不採用案、その理由と未確認事項を同じ記録へ結びます。条件が変わったら古い記録を消さず、新しい資料と確認担当を残して再判定します。次の担当が「当時はなぜそう決めたか」を説明できれば、判断を引き継ぐための土台になります。
見直し条件と日を記入してください。架空例は10月19日、A余力40時間未満・B余力20時間未満、技能・納期・品質の変化時に両工場長が社長へ戻す条件です。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


