導入事例を載せる前に何を確認する?社名・写真・数値の掲載範囲

顧客との仕事を事例として紹介するWeb兼広報担当へ
導入事例を載せる前は、社名・ロゴ・写真・コメント・数値を、掲載先ごとに確認します。取材の了承を全項目の公開許可とせず、契約や素材の条件と確認者を照合し、完成原稿まで確認できない部分は保留します。
顧客との仕事を会社サイトで紹介したいWeb兼広報担当向けの記事です。何を誰に見せるか、同じ顧客の会社サイト案とSNS案をどう分けるか、完成版の確認と変更・再利用の扱いを、架空の二案で説明します。最後に最初の行動をまとめます。

取材の了承・項目の掲載許可・完成原稿の確認を分ける
取材に応じてもらえたことだけで、社名、写真、コメントや数値をすべて公開してよいとは判断しません。どの項目を、どの掲載先で使う了承なのかを分け、最後に実際に公開する完成版を確認します。
小規模な受託開発会社のWeb兼広報担当が、取引先との開発事例を会社サイトへ載せる場面を考えます。取材の予定を受けてもらう段階では、話を聞くことには合意があっても、原稿や画像、掲載先がまだ決まっていないことがあります。社内の制作が進んだことを、顧客の公開了承へ置き換えないようにします。
確認する対象を三つに分ける
- 取材への了承。話を聞くことについての記録です。ここから、すべての素材や掲載先への了承を読み足しません。
- 項目と掲載先の了承。社名の文字、ロゴ、担当者名、写真、コメント、数値など、実際に使うものと使う場所を対応させます。同じ顧客の素材でも、一括して同じ状態とは限りません。
- 完成版の公開確認。見出し、本文、画像、図注、数値とその説明を含めた、公開予定の版を確認します。一部の文章を見てもらった記録と、完成版全体の確認を区別します。
取材の窓口が、その会社のあらゆる掲載内容を判断できるとは限りません。顧客側で何を誰が確認するのか、自社側では契約や素材を誰が確認するのかを、既存の担当窓口と整理します。権限や確認者が不明なまま、返信した人の名前だけで確認済みとしないでください。
本稿では、項目ごとの記録を使って原稿の公開判断を進める実務上の方法を提案します。以下の例は独自の架空記録です。実顧客の同意や契約、法律上の適法性、実際の公開完了を証明するものではありません。
社名・写真・数値と掲載先を具体的に示して確認する
「事例掲載は大丈夫ですか」だけで聞くより、使用する文面・素材・掲載先を見せ、どの範囲を確認してもらうかを明確にします。素材を受け取ったことと、その使い方を確認できたことも分けます。
項目によって確認するものが違う
- 社名とロゴ。社名を文字で書くことと、ロゴ画像を掲載することを別にします。使う正式表記とロゴ素材、指定された使い方があれば、その条件を原稿と照合します。
- 担当者名と写真。会社名の了承から個人名や顔写真の了承を推定しません。写真は、写っている人や物、提供元、使用条件、掲載する画像そのものを確認する対象です。顧客から届いた写真だから、そのまま何にでも使えるとは判断しません。
- コメント。どの文面について確認を受けたかを残します。編集や抜粋で意味が変わらないか、誰の発言として掲載するかを、実際の原稿で確認します。確認済みの文面が未取得なら、架空の推薦コメントを埋めません。
- 成果数値。掲載の了承と、数値を説明できる根拠を別に確認します。対象、期間、測り方、何と比べた数かが分からなければ、数字だけで成果を断定しません。了承があることだけでは、その数値の正しさは確定しません。
掲載先も、会社サイトの記事、SNSの短い紹介など、実際に使う場所を示します。SNSでは、記事へのリンクだけなのか、社名・画像・引用文も載せるのかで、確認する内容が変わります。今回はどこまでの使用を確認しているのかを、原稿と素材に対応させて残します。
契約・秘密保持・素材の条件は別に照合する
文化庁の法的問題に関するFAQは、成果物の実績紹介に関して、契約上の条件、権利帰属、秘密保持の確認が関係することを説明しています。同ページは2023年10月時点の情報と明記されており、個々のロゴ・写真・個人名や顧客の了承範囲まで一律に判断する資料ではありません。
自社の契約・秘密保持条件、公開しようとする情報、素材の権利や使用条件を、社内の契約担当などと照合します。公開できるか不明な契約内容や権利関係は、その内容を判断できる担当へ確認します。顧客から一部の了承が得られたことを、これらの条件もすべて解決したという記録にはしません。
会社サイト案は一部了承済みでも、原稿全体は公開保留
架空の会社サイト案では、社名とコメントに了承の記録がありますが、写真は掲載不可、ほかの項目には未確認が残っています。完成原稿も未承認なので、案1全体の公開は保留です。
ここからの二案は、同じ架空の小規模受託開発会社が、同じ架空の取引先Aとの開発事例を紹介する記録です。「案1」は自社サイトの記事、「案2」はSNSの短い紹介です。別媒体の案であり、案2が案1を直して承認されたという成功例ではありません。実際の社名、写真、コメントの文言、成果数値は設定していません。
案1で分かっていることと、まだ分からないこと
会社サイトの記事では、取材の了承、社名とコメントの項目別了承が記録されています。一方、写真は掲載不可と記録されています。ロゴ、担当者名、成果数値の掲載許可、数値の根拠、実際の確認者は未確認です。完成原稿は未承認であり、「取材済み」「社名が使える」という理由だけでは案全体を公開しません。
社名とコメントに了承があれば、写真やSNSの紹介文もそのまま公開できるのでしょうか。

会社サイトで確認した項目と、写真の掲載不可、未回答の項目、完成原稿の未承認を分けます。SNS案には、会社サイト案の了承を自動で移しません。
この状態から進める仕事は、許可のない素材を勝手に追加することではなく、確認対象の版を整えることです。写真を使わない構成や、未回答のロゴ・担当者名・数値を外した案を作るなら、その変更後の原稿を新たな確認対象にします。ここで「外す」は今後の編集案であり、架空記録に削除済み・承認済みの結果を加えるものではありません。
項目を外しただけで、残った記事全体の公開確認まで終わるわけではありません。取引を紹介すること自体の条件や秘密保持、完成版の文脈も確認します。匿名化した場合も、業務内容や周辺情報から顧客を推測できる可能性などを含めて検討し、匿名なら必ず掲載できるとは扱いません。
同じ顧客の二案:項目ごとの記録を全文で読む
独自の架空記録です。写真の「不可」、完成原稿の「未承認」、まだ得られていない「未確認」は別の状態です。取材や一部項目への了承を、完成版・別媒体の了承へ広げません。案2は案1の修正成功ではありません。
会社サイト案
- 紹介する案
- 会社サイト案
- 掲載側の会社
- 架空の小規模受託開発会社
- 掲載側の担当
- Web兼広報担当
- 紹介する仕事
- 架空の取引先Aとの開発事例
- 原稿の版
- 案1
- 掲載先
- 自社サイトの記事
- 取材の了承
- 取材了承の記録あり
- 社名の掲載許可
- この項目・媒体で了承の記録あり
- ロゴの掲載許可
- 未確認
- 担当者名の掲載許可
- 未確認
- 写真の掲載許可
- この記録では掲載不可
- コメントの掲載許可
- この項目・媒体で了承の記録あり
- 成果数値の掲載許可
- 未確認
- 成果数値の根拠
- 未確認
- 完成原稿の確認
- 完成原稿は未承認
- 公開内容を確認する人
- 未確認
- 今の記録での公開判断
- 許可済み社名と確認済みコメント以外を公開対象にしない。完成原稿の確認が未了なので案1全体の公開は保留。
別媒体の短い紹介案
- 紹介する案
- 別媒体の短い紹介案
- 掲載側の会社
- 同じ架空の小規模受託開発会社
- 掲載側の担当
- Web兼広報担当
- 紹介する仕事
- 同じ架空の取引先Aとの開発事例
- 原稿の版
- 案2
- 掲載先
- SNSの短い紹介
- 取材の了承
- 取材了承の記録あり
- 社名の掲載許可
- 未確認
- ロゴの掲載許可
- 未確認
- 担当者名の掲載許可
- 未確認
- 写真の掲載許可
- この記録では掲載不可
- コメントの掲載許可
- 未確認
- 成果数値の掲載許可
- 未確認
- 成果数値の根拠
- 未確認
- 完成原稿の確認
- 完成原稿は未承認
- 公開内容を確認する人
- 未確認
- 今の記録での公開判断
- 会社サイト案で確認した内容を別媒体の許可へ読み替えない。SNS案と使用する素材を別に確認する。
同じ顧客でもSNS案は別に確認する
案2のSNS紹介では、社名やコメントの了承は未確認です。会社サイト案の了承を、SNS向けの文面・画像の了承へ読み替えず、実際に掲載する内容を別に確認します。
同じ取材をもとにした紹介でも、SNSでは短い文面へ抜粋したり、画像に社名や数値を入れたりすることがあります。記事全体では補足されていた条件が、短い紹介では伝わらないこともあります。どの文面と素材を、どこで使うかを見せる理由は、同じ仕事の紹介だからと確認範囲を広げないためです。
架空のSNS案では、取材の了承はありますが、社名、ロゴ、担当者名、コメント、成果数値の掲載許可と数値の根拠は未確認です。写真は掲載不可、完成原稿は未承認で、確認者も未確認です。会社サイト案で社名とコメントが了承済みでも、その値をSNS案へコピーしません。写真が不可という記録を、単なる未回答にも戻しません。
確認を頼むときは、案と媒体を取り違えないようにする
次の文面は、確認依頼を組み立てるための説明用の下書きです。実際の送信や返答の記録ではありません。相手先、契約、これまでの合意内容に合わせて整えます。
会社サイトの記事案と、SNSでの短い紹介案を分けて確認したいと考えています。会社サイト案では、社名とコメントに了承の記録があり、写真は掲載不可と認識しています。未回答の項目と完成原稿について、公開予定の文面・素材・掲載先をお示しして確認したいので、確認できる方と確認範囲をご案内いただけますでしょうか。SNS案の文面と使用素材は、会社サイト案とは別にお送りします。
実務では、相手が見た版を特定できるよう、完成原稿や素材、掲載先を一緒に示します。返信を待っている間は「確認中」であり、許可済みや公開予定確定へ変えません。返信が曖昧なら、どの案・項目・媒体を指しているかを聞き直します。
完成版の確認と、変更・再利用時の再確認を残す
公開前には、確認者が見た完成版と、実際に掲載する本文・画像・数値・媒体が一致するかを照合します。その後に文面や素材、掲載先を変えるなら、確認済みの範囲から変わる部分を見直します。
- 公開予定の一式をまとめる。
タイトル、見出し、本文、使う画像と図注、コメント、数値の説明、掲載先をそろえます。古い下書きや文章だけの確認を、現在の完成版の確認と混ぜません。
- 項目と確認者を対応させる。
誰が、どの版の、どの項目と媒体を確認したかを残します。顧客側の確認範囲と、自社の契約・素材の確認範囲を分け、まだ判断できる人が分からない項目は未確認のままにします。
- 未回答と不可を区別して処理する。
未回答を了承とみなさず、不可とされた素材は使わない方針で原稿を整えます。未回答の部分を除く場合も、残る完成版と条件を改めて確認します。全体の公開判断が終わらなければ、公開は保留します。
- 掲載直前の版を照合する。
確認後にタイトルを強くした、コメントを短くした、数値や画像を差し替えた、といった変更がないかを見ます。変更があれば、影響する項目と文脈を、確認済みの条件と照らして再確認します。実公開後には、承認対象だった版と実ページに食い違いがないかを確認する仕事を別に残します。
別媒体・再掲載・非公開の相談が来たら
会社サイトからSNS、営業資料などへ転用する場合は、その使い方が確認済みの範囲に含まれるかを先に調べます。含まれると判断できなければ、文面と素材、掲載先を示して確認します。会社サイトの公開実績があることだけを、ほかの媒体での利用条件にしません。
顧客から表現の修正や非公開の相談が来たときは、対象の記事・画像・媒体と希望範囲を確かめ、契約やこれまでの合意を担当と照合して対応を決めます。自社サイトを変えたことを、SNSや外部に残った紹介もすべて消えたという結果にはしません。対応した場所と残る確認を分けて記録します。ここでは、一律の撤回権や削除義務があるという法律上の結論は示していません。
事例の成果を読むときの対象・期間・比較条件については、導入事例の根拠を読み分ける案内で扱います。掲載の了承と成果の根拠は、どちらかがあればもう一方も確かになる関係ではありません。
まとめ:項目・掲載先・完成版をそろえ、未確認のまま公開しない
導入事例は、取材の了承だけで公開を決めず、使う項目と媒体、契約や素材の条件、実際の確認者をそろえます。最後に完成原稿を確認し、一部の了承を記事全体や別媒体へ広げないようにします。
架空の会社サイト案は、社名とコメントの了承があっても、写真不可と未確認の項目、完成原稿の未承認が残るため、案全体の公開を保留しました。同じ顧客のSNS案も、会社サイト案の了承を流用せず、別に確認する状態です。この記録には、承認完了や実公開の結果はありません。
会社サイトの事例原稿や素材の整理について支援を検討する場合は、公開したい内容と掲載先、確認済み・未確認の範囲を分けてDREEXYへ相談できます。支援範囲、受付可否、費用は個別確認です。法律上の判断が必要な事項は、その内容を判断できる専門の相談先へ確認してください。
出典と架空例の範囲
文化庁FAQの成果物の実績紹介に関する説明を必要範囲で参照しています。ページの情報時点は2023年10月です。本文の二案は独自の架空記録で、実顧客、同意、契約、数値、法的判断や公開実績ではありません。
企画の参考:小規模な受託事業者が顧客の社名・ロゴの使用をどう依頼するかという本人の相談。定性的な相談であり、日本の需要量や実際の成果を示すものではありません。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


