見積もり相談メールをAIで振り分けるには?見逃しと確認件数で比較

見積もり相談のメールを営業へ回すAIを選ぶときは、相談の見逃し数と、営業が確認するメール数を確かめます。正解率だけでは、見逃しと確認の負担を区別できないためです。
同じ正解率85%でも、確認するメールが3通で見逃しが2通の例と、確認が7通で見逃しが0通の例があります。この記事では、架空のメール20通を使って、この違いを説明します。
営業に回したいのは、見積もり相談のメール

会社に届いた問い合わせ20通の中に、見積もり相談が4通あるとします。営業担当には、この4通を確認してもらいたい、という仕事です。
たとえば「部品10個の見積もりをお願いできますか。」は営業へ回す対象です。「営業時間を教えてください。」は、この見積もり相談の振り分けでは対象外です。
対象外のメールも、会社として対応が不要になるわけではありません。配信停止や返品などは、別の担当へ回す必要があるかもしれません。ここでは、営業が見積もり相談を確認する仕事に範囲を絞って比べます。
正解率が同じでも、見逃しと確認件数は違う

同じ20通を、二つの例で振り分けてみます。図の「絞る例」は3通を営業へ回す例、「広い例」は7通を回す例です。どちらも説明のために作った架空例で、実際のAIの出力や、設定を変えた前後の結果ではありません。
3通を確認する例
- 営業が確認する合計
- 3通
- うち、見積もり相談
- 2通
- うち、対象外
- 1通
- 見逃した相談
- 2通
正解率は17÷20=85%
7通を確認する例
- 営業が確認する合計
- 7通
- うち、見積もり相談
- 4通
- うち、対象外
- 3通
- 見逃した相談
- 0通
正解率は17÷20=85%
3通を確認する例では、見積もり相談4通のうち2通を営業へ回せず、見逃しています。7通を確認する例では4通すべてを回しますが、営業時間・配信停止・採用応募の3通も混ざります。
7通を確認する例で増えた4通の内訳は、見逃さずに済んだ見積もり相談2通と、対象外のメール2通です。増えた確認をすべて無駄とは言えません。一方、見逃し0通だけを見て、その例を採用するとも決められません。担当者が確認できる件数や、見逃した場合の影響も調べる必要があります。
なぜ、どちらも正解率85%なのか
正解率は、営業へ回す・回さないを正しく判断できたメールの割合です。3通を確認する例は、見積もり相談を正しく回せた2通と、対象外を正しく回さなかった15通で、合計17通が正解です。7通を確認する例は4通と13通で、やはり17通が正解です。
どちらも17÷20=85%。一つの点数にまとめると、見積もり相談を見逃した間違いと、対象外を営業へ回した間違いの違いが見えなくなります。
「適合率」と「再現率」を、メールの件数で読む
この二つの指標は、どのメールの集まりを見るかが違います。まず件数を確かめ、その後で率にすると読みやすくなります。
適合率:営業へ回した中に、見積もり相談は何通あるか
3通を確認する例では、回した3通のうち見積もり相談は2通なので、2÷3≒66.7%。7通を確認する例では、7通のうち4通なので、4÷7≒57.1%です。
適合率は、人が確認するメールに、対象の相談がどれだけ含まれるかを見る数字です。この例では、3通を確認する方が対象外の混入割合は小さくなります。
再現率:見積もり相談4通のうち、何通を営業へ回せたか
3通を確認する例では、相談4通のうち2通を回せたので、2÷4=50%。7通を確認する例では4通すべてなので、4÷4=100%です。
再現率は、本来回したい相談を、どれだけ見逃さずに回せたかを見る数字です。分母は回した件数ではなく、もともとあった見積もり相談4通です。
適合率が高い方と、再現率が高い方は、この例では一致しません。また、この20通で見逃し0通だったことは、今後も必ず見逃さない証明にはなりません。
自社で選ぶ前に、確認する三つのこと
1. 何を営業へ回すかを、業務責任者と決める
同じメールを人が読み、見積もり相談かどうかを判定して、AIを比べる基準にします。この人の判定を「参照判定」と呼びます。対象外を誰が扱うかも決めます。
「前と同じ条件でお願いできますか。」のように、本文だけでは判断できないメールは、過去のやり取りを知る担当へ確認します。このメールは今回の20通には含めていません。未判定のまま別枠に残し、対象外の16通へ足しません。
2. 見逃した場合の影響と、確認できる体制を確かめる
業務責任者と、見積もり相談を見逃すと何が起こるか、別の方法で気づけるかを確かめます。確認する担当者には、対応できる件数・頻度・引き継ぎ先を確認します。
今回の比較では、確認時間・費用・売上への影響を測っていません。「4通多いから何分損をする」「見逃しが減れば売上が増える」といった効果は、件数だけでは分かりません。
3. 同じ条件で実際の出力を比べる
評価担当者は、同じ期間・同じ対象のメールと、人の判定をそろえます。開発・導入担当者には、使った資料や設定と、実際の出力を保存して比べられるかを確認します。設定を変えた後も、条件をそろえて確かめ直します。
この20通は数え方を説明する少数の架空教材です。実運用に十分な件数や、合格にすべき正解率を示すものではありません。見逃した相談の中身と、確認にかかった時間も調べてから、業務責任者が採否を決めます。
計算と20通の内訳を確かめる
20通のメールと振り分けを読む
同じ20通を、人の判定と二つの架空例で照合しています。「営業の対象外」は、会社として対応不要という意味ではありません。
-
部品10個の見積もりをお願いできますか。
- 人の判定
- 見積もり相談
- 3通を確認する例
- 営業へ回す
- 7通を確認する例
- 営業へ回す
-
追加購入分の見積書を送ってください。
- 人の判定
- 見積もり相談
- 3通を確認する例
- 営業へ回す
- 7通を確認する例
- 営業へ回す
-
納期を含めた見積もりを相談したいです。
- 人の判定
- 見積もり相談
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 営業へ回す
-
添付仕様での見積もりをお願いします。
- 人の判定
- 見積もり相談
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 営業へ回す
-
営業時間を教えてください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 営業へ回す
- 7通を確認する例
- 営業へ回す
-
案内メールの配信停止をお願いします。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 営業へ回す
-
採用応募の受付方法を教えてください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 営業へ回す
-
資料のダウンロード方法を教えてください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
店舗の住所を教えてください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
セミナー会場はどこですか。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
発行済み請求書を再送してください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
返品の手順を教えてください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
祝日の営業予定を教えてください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
会員ページのパスワードを再設定したいです。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
製品カタログの送付先を変更したいです。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
セミナーの参加を取り消します。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
注文済み商品の配送状況を教えてください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
会員登録を退会したいです。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
公開FAQの誤字を連絡します。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
-
発行済み領収書を再送してください。
- 人の判定
- 営業の対象外
- 3通を確認する例
- 回さない
- 7通を確認する例
- 回さない
四つの分類と、計算の内訳を読む
3通を確認する例では、次の四つに分かれます。
- 見積もり相談を回せた(TP):2通。例「部品10個の見積もりをお願いできますか。」
- 対象外を回した(FP):1通。「営業時間を教えてください。」
- 見積もり相談を見逃した(FN):2通。例「納期を含めた見積もりを相談したいです。」
- 対象外を回さなかった(TN):15通。例「店舗の住所を教えてください。」
7通を確認する例の内訳は、TPが4通、FPが3通、FNが0通、TNが13通です。
正解率=(TP+TN)÷全メール。適合率=TP÷(TP+FP)。再現率=TP÷(TP+FN)です。
一通も営業へ回さない場合、適合率は0%?
いいえ。この式では計算できません。別の架空例として、同じ20通から一通も営業へ回さなかった場合を考えます。
- 適合率:0÷0で、計算できない。分母の「営業へ回したメール」が0通だからです。0%や100%で埋めません。
- 再現率:0÷4=0%。見積もり相談4通をすべて見逃しています。
- 正解率:16÷20=80%。対象外の16通を回さなかった分は、正しく分けています。
適合率が計算できないことと、相談をすべて見逃したことは別々に残します。資料不足でメールを未判定にする場合とも区別します。
指標の定義は、Googleの機械学習教材を参照しています。メール20通と二つの振り分けは、本記事で作成した架空の説明例です。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


