業務改善・組織運営

企画と製作で共同目標を作るには|引き継ぎの条件・役割・確かめ方をそろえる

部門の共同目標はどう作る?それぞれの作業を同じ結果へつなぐの実務ガイド。部門の共同目標:記入メモ

図面は早く渡した。それなのに製作から「材質は?」「いくつ作るの?」と質問が戻ってくる。企画も製作も急いでいるのに、引き継ぎのたびに仕事が止まってしまう。そんな時、片方の部門に「もっと早く」と求めるだけでは、確認の負担がもう片方へ移ることがあります。

この記事は、企画と製作の仕事を調整する製造・制作会社の責任者に向けたガイドです。二つの部門が一緒に目指す結果を「共同目標」と呼び、図面を渡す場面を例に作り方を説明します。読み終えたら、一つの引き継ぎについて「どんな状態を目指すか」「誰が何をするか」「何を見て確かめるか」を、一枚のメモに書けるようになります。

この記事で整理できること

  • 部門ごとの目標から、次の仕事を始めるために必要な状態を一文にできる。
  • 渡す人・受け取る人・未決事項を判断する人の役割を分けられる。
  • 数える対象と期間を決め、達成率だけでなく確認ややり直しの負担も振り返れる。

ここからは、展示什器を作る架空の会社「森什器」の例です。展示什器とは、店などで商品を載せる棚や台のことです。会社・案件・図面番号・材質の記号・数量は説明用で、実際の改善結果ではありません。図面G4などの記号は、どの資料を指すかを照合するために使います。

企画は図面を早く渡したい、製作は不足なく受け取りたいという架空例。正式開始前に対象図面・材質・数量・未決事項を確認する共通目標へつなぐ。
企画と製作の個別の目標を、正式開始前に双方で確認する条件へつなげた架空例です。確認や改善を終えた実績ではありません。

1.まず「次の人が仕事を始められる状態」を一文にする

自分の部門が終える作業だけでなく、受け取る部門が何を判断できればよいかを決めます。

森什器では、企画が「図面を早く出す」、製作が「必要な情報をそろえて受け取る」を目指しています。どちらも必要な仕事ですが、図面だけ先に届いて材質や数量が分からなければ、製作は確認から始めなければなりません。

そこで、今回の共同目標を「正式な製作開始の前に、対象の図面・材質・数量・未決事項を両部門で確認し、開始できるか判断できる状態にする」と書きます。「連携を強める」だけでは見えなかった、確かめる内容と時点が分かる文章になります。

この目標は、途中の相談を遅らせるためのものではありません。材質が決まっていない段階でも、相談であることと未決事項を示して話せます。「相談を受ける」と「正式に製作を始める」を分けて扱います。

部門ごとの目標を、受け渡し全体の目標につなぐ架空例
見るところ元の考え方共同目標に加えること
企画の仕事図面を早く渡す対象図・材質・数量と、まだ決まっていない点を伝える
製作の仕事不足のない資料を受け取る届いた条件を照合し、開始の判断に何が足りないか返す
二部門で目指す結果それぞれが自分の作業を急ぐ正式開始の前に、両部門が同じ条件を確認して判断できる

2.一件の資料で、開始できる場合と相談が必要な場合を分ける

目標の文章だけで合意せず、具体的な資料を見て同じ判断になるか確かめます。

森什器では、二つの架空案件を使います。一つは、図面G4・材質M2・数量6で、未決事項がない案件です。G4は対象図面、M2はこの例で使う材質の識別記号です。実際の材質や図面の仕様を示すものではありません。

もう一つは、図面G5・数量4で、材質を確認している案件です。材質欄に適当な値を入れて開始扱いにはしません。相談として受け取り、材質を判断する責任者と、次に確認することを決めます。

情報が書いてあることと、製作を始めてよいことは同じではありません。「材質未定」と読めれば未決は伝わりますが、材質が決まったことにはなりません。この例で扱わない品質・安全・取引上の開始条件もあるため、実際の開始判断では自社に必要な条件を別に確認してください。

正式開始の確認例と、材質が未定の相談例
確かめる項目条件がそろった架空案件材質を確認中の架空案件
対象の図面G4G5
材質と数量材質M2・数量6材質未定・数量4
未決事項この例の四項目では未決なし材質を誰が、いつ判断するか確認が必要
扱い双方で条件を照合し、正式開始を判断する例相談として扱う。仮の材質で開始扱いにしない
図面G4・材質M2・数量6・未決なしの例と、図面G5・材質未定・数量4・材質確認中の相談例を比較する。
二つの別の架空案件です。左・上は条件を照合する例、右・下は材質を判断する人への相談例で、作業の順番や改善前後を示しません。記号・数量・図面の描画や寸法は説明用で、製作仕様ではありません。

3.渡す人・受け取る人・判断する人の仕事を分ける

「両部門で頑張る」で終わらせず、確認することと相談の行き先を担当者まで決めます。

共同目標を決めても、担当が曖昧なままでは、気づいた人が毎回すべてを埋めることになります。森什器では、企画が資料の位置付けと未決事項を記し、製作が受け取った条件を照合します。製作に、足りない情報の調査をすべて押し付ける決め方にはしません。

材質の判断が必要なら、材質を判断する責任者へ確認します。記入欄を作っただけで、企画担当者に専門知識や判断権限が増えるわけではありません。責任者が不在なら、誰に代わりを相談するかを確認し、判断前であることを残します。

担当を決める時は、本人が考えている仕事と、相手が頼みたい仕事を並べると、重複や抜けを見つけやすくなります。これはAtlassianの「Roles and Responsibilities」で示される担当認識の照合を参考にした進め方です。相談先の確定や担当者の引受けは、自社で確かめる必要があります。

共同目標を支える役割の案
役割この例で担当する仕事確認が必要なこと
企画資料が正式開始用か相談用かを示し、四項目と未決事項を記す分からない材質を仮値で埋めない。調査の分担も確認する
製作受け取った資料を照合し、条件の不一致や不足を返す不足を一人で補う前に、相談先を確認する
材質を判断する責任者材質に関する判断と、必要な追加確認を行う担当者・引受け・確認時期はまだ決めていない
二部門を調整する責任者役割の抜け、負担、開始と相談の区別を整理する個別目標の評価が、早さだけに偏っていないかを見る

4.何を、いつ、誰が数えるかを先にそろえる

割合だけを置く前に、対象となる案件、確認時点、記録担当を決めます。

目標が伝わったかを確かめるため、森什器では「正式開始した案件のうち、開始時点で四項目の記録を確認できた案件」を数える案にします。分母は対象期間に正式開始した案件数、分子はその中で四項目の記録を確認できた案件数です。正式開始した後で不足が分かった案件も、分母から都合よく外しません。

説明のため、正式開始10件のうち四項目の記録を確認できた案件が8件なら、8÷10=80%です。これは数え方だけの例で、森什器の実績でも、達成すべき目標値でもありません。実際の記録をまだ取っていなければ、結果は「未測定」、目標値は「未設定」と記します。

材質未定の相談は、最初から定めた「相談」という区分に記録します。相談件数を後から正式開始件数へ足して率を上げることもしません。期間・案件の種類・判断する時点をそろえ、確認のための追加照会と、開始後のやり直しは別に記録します。割合が高いだけで、製作の品質や仕事全体の改善を証明することはできません。

数える前に決める項目と、教材の計算例
決める項目この例の記録案混同しないこと
対象と期間対象期間に正式開始した案件。期間の開始日・終了日は未定相談と正式開始を、結果を見て入れ替えない
確認する時点と内容正式開始時点の対象図・材質・数量・未決事項の記録記録が読めることと、開始条件を満たすことは別に確認する
記録する人と原資料担当者は未定。開始記録と、その時点の引き継ぎ資料を照合する案記録できない数字を実績として書かない
数え方の教材確認できた8件÷正式開始10件=80%実績・目標値ではない。分母から不足案件を除いて率を上げない
一緒に見る負担追加照会と、開始後のやり直しの件数・内容を別に記録仕事量や案件難度が違う期間を、割合だけで順位付けしない

5.率だけでなく、どこで確認ややり直しが増えたかを見る

共同目標が、一方の部門へ負担を移していないかを実際の資料で確かめます。

振り返りでは、率の高い低いだけで評価を終えず、条件が分からなかった案件を一件読みます。「誰が悪かったか」より先に、「どの欄がなく、誰に確認できず、何が止まったか」を並べます。製作の追加照会が増えたなら、企画が情報を得られる手順や、判断者へ相談できる経路も確認します。

共同目標を作っても、企画の評価が図面を出す早さだけのままなら、情報がそろう前の送付を促すことがあります。早い相談を認めつつ、正式開始に必要な情報を伝える仕事も評価できるか、責任者が見直します。必要な確認を省いたり、未決を隠したりする達成方法は選びません。

見直しの最後は、次に直す欄・担当・確認日を一つずつ決めます。文章を直したことは改善の準備であり、結果がよくなった証拠ではありません。次の記録を同じ条件で読み、確認ややり直しがどう変わったかを確かめます。

振り返りで見つけた場合に確認すること。実際の結果ではありません
見つかったこと先に確かめること次の対応の例
材質の追加照会が多い企画はどこで材質情報を得るのか。判断する人は決まっているか情報の入手・専門判断・連絡の担当を分けて確認する
相談が正式開始として数えられていた開始の定義と、その時点の記録を双方が同じように読んでいたか区分を訂正し、訂正理由を残す。率だけをよくする変更はしない
率は上がったが製作の確認負担も増えた誰が不足を補ったのか。案件量や難しさは変わったか渡す前の確認と、追加調査の分担を見直す

6.まとめ|部門の頑張りを、次の人が進められる仕事につなぐ

一つの引き継ぎから、共通の状態・双方の役割・確かめ方をそろえましょう。

共同目標は、二つの部門へ同じ数字を配るだけでは作れません。森什器の例では、図面の提出を急ぐことと、不足なく受け取ることを「正式開始の前に同じ条件を確認し、判断できる状態」へつなぎました。材質が未定なら相談として扱い、判断する人へ渡します。

まずは、自社で確認が行き来している仕事を一つ選んでください。相手が次へ進むために必要な状態を一文にし、渡す人・受け取る人・判断する人の役割を並べます。数字は、対象と記録の取り方が決まってから置きます。

「こちらは終わったのに」で止まっていた会話を、「次の人が進むには、あと何が必要か」という会話へ変える。その出発点が、具体的な共同目標です。今日決められる一つの引き継ぎから、手元に書き出してみてください。

共同目標の状態、渡す人・照合する人・判断する人の役割、記録の取り方を決め、一件の資料で判断と負担を確かめる計画例。
これから共同目標を整理する手順です。目指す状態・役割・確かめ方を決め、同じ資料で判断と負担を確認します。担当の引受け・日程・結果はまだ確定していません。

共同目標を8項目で整理する

一つの引き継ぎ場面について書きます。未定・未確認のことを埋め合わせず、相談相手と次の行動を残してください。記入例は計画の案で、担当者の引受けや目標達成を示すものではありません。

これは共同目標を相談するための計画メモです。担当者の引受け・開始判断・測定・改善が済んだ記録ではありません。

G4は材質M2・数量6を照合する例、G5は材質未定・数量4の相談例です。二つは別の架空案件で、改善前後の比較ではありません。G5では材質を判断する責任者が不在という条件も置いています。記録された条件だけで開始を認めず、必要な品質・安全などの条件は別に確かめます。同じ八項目ごとに、両方の案と未確認事項を並べました。

1 引き継ぐ仕事と、関わる二つの部門

G4:条件を照合する例

架空の森什器。企画から製作への、展示什器の図面と条件の引き継ぎ。

G5:材質未定の相談例

架空の森什器。企画から製作へ、材質未定の展示什器について相談する場合。

2 共同で目指す状態と、確かめる時点

G4:条件を照合する例

正式な製作開始の前に、対象図・材質・数量・未決事項を両部門で確認し、開始できるか判断できる状態にする案。

G5:材質未定の相談例

正式開始の前に四項目を確認し、開始できるか判断する目標は同じ。今回はまだ相談段階と記す。

3 開始前に確認する条件と、相談として扱う場合

G4:条件を照合する例

図面G4、材質M2、数量6、未決なしという教材例で照合する。実際の品質・安全などの開始条件は別途確認。早い相談を禁止しない。

G5:材質未定の相談例

図面G5、材質未定、数量4、材質確認中。材質を仮値で埋めず、正式開始扱いにしない。

4 渡す部門がすること・担当者

G4:条件を照合する例

企画が資料の位置付けと四項目・未決事項を記す案。担当者名と引受けは未定。

G5:材質未定の相談例

企画が相談用であることと材質未定を伝える案。担当者名と引受けは未定。

5 受け取る部門がすること・担当者

G4:条件を照合する例

製作が受け取った条件を照合し、不一致や不足を返す案。担当者名と引受けは未定。

G5:材質未定の相談例

製作が条件を照合し、材質の判断が必要と返す案。不足の調査を製作だけへ任せない。担当者は未定。

6 未決事項を判断する人・相談先・確認時期

G4:条件を照合する例

材質に関する判断は責任者へ。担当者・相談先・確認時期はいずれも未定。調整する責任者へ確認する。

G5:材質未定の相談例

材質を判断する責任者が不在と仮定。代わりの相談先と確認時期を調整する責任者へ確認する。材質判断は未実施。

7 数える対象・期間・記録担当・使う資料

G4:条件を照合する例

対象は期間内の正式開始案件。開始記録と開始時点の引き継ぎ資料を照合する案。対象期間・記録担当は未定、実績は未測定、目標値は未設定。8÷10=80%は計算の説明だけ。

G5:材質未定の相談例

今回の相談は相談として記録し、正式開始の分母へ足さない。期間・記録担当・再確認日はいずれも未定。実績は未測定。後から不足のある正式開始案件を分母から消さない。

8 振り返りで見る負担・確認日・次に直すこと

G4:条件を照合する例

追加照会と開始後のやり直しを、件数・内容・負担した部門で別に確認する案。振り返り日と次に直す箇所は未定。

G5:材質未定の相談例

判断者不在でどこが止まるかと、確認の分担を振り返る案。確認日・担当者の引受け・改善結果は未確認。

架空例は完成した実績ではありません。自社で確認した内容へ書き換えて使います。

共同目標づくりでよくある疑問

売上目標を両部門で共有するだけでは足りませんか?

売上という大きな方向に加えて、自分たちの仕事で何を変えるかを具体化すると、役割を決めやすくなります。このガイドでは図面の引き継ぎに絞っています。引き継ぎが整えば必ず売上が上がる、という関係を証明するものではありません。

最初から100%を目標にしてよいですか?

必要な開始条件は守る一方で、測ったことのない達成率を実現できると約束しないようにします。まず対象・条件・記録をそろえ、現在の状態と不足の理由を確かめて目標値を決めます。本文の80%も実績や推奨値ではありません。

情報が全部そろうまで相談してはいけませんか?

いいえ。分からないことがある段階の相談は必要です。相談用であること、分かっている内容、未決事項、判断してほしいことを示します。相談を受けたことを、正式開始を認めたことへ置き換えないようにします。

共同目標にすると、責任が曖昧になりませんか?

共通にするのは目指す結果です。実際に記入する人、照合する人、未決事項を判断する人は分けて決めます。担当者が引き受けているかまで確かめ、誰にも割り当てられていない仕事はそのまま見える形で残します。

自社の引き継ぎを整理して相談する

共同目標のメモに、止まりやすい仕事と未確認の点をまとめてください。相談には、個人情報や機密を除いた引き継ぎ資料と、双方で判断が分かれた箇所があると、具体的な話を始めやすくなります。

業務の整理について相談する

出典と、このガイドの前提

原稿・一次情報の確認日:2026年10月12日。図の人物・職場・資料は生成した架空の説明例です。目標の達成や業務改善の結果を示す実績ではありません。

  • Roles and Responsibilities|Atlassian Team Playbook

    自分が考える担当と、他の人が期待する担当を照合し、重複・未担当の仕事を確認する方法を参照しました。

    チーム運営の方法資料です。掲載された効果割合を本記事へ移していません。材質判断などの専門知識や、法的な権限を定める資料ではありません。

  • Goals, Signals, and Measures|Atlassian Team Playbook

    作業で作ったものと達成したい結果を区別し、目標に対応する確認方法・測り方・記録の実行可能性を考える方法を参照しました。

    本記事の四項目、相談と開始の区分、8÷10の計算は著者の架空教材です。この資料が特定の開始条件や目標率を保証するものではありません。

  • 部門間の壁を越え、本質的課題を追求する経営会議体の構築|中小機構

    売上目標を共有していても方向性がそろわないという、支援先企業の問題意識を読者の困りごとを検討する参考にしました。

    個別の支援報告です。その企業の成果を森什器の実績へ置き換えず、一般的な発生割合や検索需要として扱っていません。

  • ミドルマネジメントを巻き込み課題設定。部門間コミュニケーション強化|中小機構

    営業と製造の見方の違いや、部門長が課題と優先度をすり合わせる必要性を扱う事例を参照しました。

    個別企業への支援報告です。本記事の数え方や共同目標の成果を立証する資料ではありません。

記事の先頭へ戻る

仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。

AI・DXとマーケティングを一体で相談

KEEP EXPLORING

次のヒントを、もうひとつ。

すべての記事を見る

LET’S CONNECT THE DOTS.

次の一歩を、
一緒につくる。

業務も、AIも、集客も。
課題がまだ整理できていなくても、ご相談ください。

AI・DXとマーケティングを一体で相談