業務標準は守られている?手順と実際の記録を照合する点検

業務改善 · 実務ガイド
業務標準の点検は、社員が規程を覚えているかを試すものではありません。対象とする手順、確認する記録、実際に行った仕事を照合し、基準違反、記録不足、手順の不適合を区別します。
架空の製本会社「菊製本」は、完成品の確認手順を社内点検します。品質担当が通常品と再加工品の架空記録を使い、手順にある確認が記録から説明できるかを調べる例です。

この記事でできるようになること
- 一つの確認事項に、実施を説明する記録を対応させます。
- 不足の種類に応じて担当と完了の証拠を指定します。
- 二種類の記録で、手順の確認事項と実施証拠を対応させてください。
01 / 業務改善
点検の範囲と基準は?
完成品の確認手順一つと、二種類の記録を対象にします。
点検を始める前に、どの手順と記録を見ればよいでしょうか。図の対象手順は完成品の確認、対象記録は通常品と再加工品です。菊製本では手順ST2とQ8・Q9に範囲を絞り、枚数と照合先、再加工後の確認を見ます。

品質担当は、使うST2の版、記録の対象期間、必要な確認と証拠を先に定めます。途中で基準を変えると同じ記録でも判定が揺れます。今回は完成品の確認を点検する例なので、見ていない工程や担当者の評価まで結論を広げないようにしてください。
菊製本は全工程を一度に点検せず、完成品の確認へ範囲を絞ります。使用する手順の版と、教材記録の対象期間を先に記します。
点検中に合格の条件を変えると結果を比べられません。品質担当は確認項目、必要な証拠、不足時の扱いを先に決めます。
担当者の評価や法的な監査は本稿の対象外です。社内標準を実際の仕事と照合する点検として行います。
完成品の確認手順一つと、二種類の記録を対象にします。
02 / 業務改善
手順と記録をどう対応させる?
一つの確認事項に、実施を説明する記録を対応させます。
Q8の「20枚・O8」とQ9の初回記録は、同じことを説明できるでしょうか。図の枚数照合には枚数と照合先の記録を、再加工には再確認の証拠を対応させます。ST2が求める確認を、記録のどこで説明できるかを一つずつ読みます。

Q8は20枚とO8の確認が記録にある例です。Q9は初回20枚の記録だけで、再加工後の確認欄が空です。これは再確認の証拠が足りないという状態で、未実施、不良、合格のいずれも断定できません。品質担当が担当者の説明、他の記録や現物と照合し、根拠が得られない部分は未確認として残します。
手順に枚数照合があるなら、記録の確認枚数と照合先を見ます。完成とだけ書いてある記録を、全確認の証拠とは扱いません。
再加工品には再確認の記録も必要な架空条件を置きます。初回確認だけが残っている場合は、再加工後の実施を確定できません。
記録がないことと、実施していないことを区別します。担当へ事実を確認し、根拠がない箇所は未確認として残します。
教材記録Q8は手順ST2が要求する枚数20と照合先票O8を記します。再加工Q9は初回20枚の確認だけで、再加工後の確認欄が空です。点検表には「Q8証拠あり、Q9は実施の証拠不足」と書く見本を置きます。
比較表は横に動かして全ての列を確認できます。
| 対象・条件 | 記入例・対応 | 確認・例外 |
|---|---|---|
| 点検基準 | ST2の枚数20と照合先O8を確認 | 基準と必要証拠を点検前に固定 |
| 通常Q8 | 20枚とO8の確認が記録にある | 記録から実施を説明できる例 |
| 再加工Q9 | 初回記録のみ、再確認欄が空 | 証拠不足、担当と記録を照合して判断 |
一つの確認事項に、実施を説明する記録を対応させます。
03 / 業務改善
不一致をどう分類する?
実施不足、記録不足、標準の不適合を分けます。
Q9の空欄を見つけたら、すぐに記録欄を増やせば解決するでしょうか。図の三つは、確認をしていない場合、確認した証拠が残らない場合、実物と手順が合わない場合を分けています。何が起きたかを確かめてから、直す対象を決めるための図です。

確認自体が抜けたと分かれば対象作業の確認へ、実施したが記録を残していなければ残し方の見直しへ進みます。ST2が再加工品に合わないなら、適用範囲と手順を所管者が検討します。空欄だけでは三つのどれかは決まりません。担当へ聞いた内容と裏付けを分け、分からない点は追加確認へ残してください。
担当が確認を行っていなければ、対象の仕事と抜けた項目を記します。抽象的な「意識不足」では再確認する対象が分かりません。
確認したが記録を残していない場合は、記録方法を点検します。実施不足と同じ修正を求めず、後から説明できる記録を検討します。
実物に合わない手順なら、社員が従うだけでは解消しません。製造主任が必要な標準の修正を判断する課題として残します。
実施不足、記録不足、標準の不適合を分けます。
04 / 業務改善
誰が修正して何を再確認する?
不足の種類に応じて担当と完了の証拠を指定します。
修正したという報告を受けたら、何を見て点検を閉じますか。図では、不足に応じて修正担当を決め、別の教材品で試し、品質担当が証拠を再び照合する順です。報告した人の説明だけで完了にせず、直した対象を確かめます。

実施不足なら製造担当の確認を品質担当が照合し、記録不足なら主任が整えた残し方を別の教材品で試します。手順の不適合なら所管者が変更箇所と適用範囲を見直します。いずれも再確認する資料、担当、予定を定め、通常品への影響も確かめます。欄を足したことや報告書ができたことだけでは、修正後に使えた証拠にはなりません。
実施不足は製造担当が対象品の確認を行い、品質担当が証拠を照合します。報告した人が自分だけで点検を閉じないようにします。
記録不足は主任が記録欄と説明を整え、別の教材品で残せるか試します。欄を追加しただけでは修正が使える証明になりません。
標準の不適合は変更した対象と適用範囲を示します。点検の場で手順全体を急に変え、別の工程へ影響を広げません。
Q9は作業をしていないと即断せず、品質担当が再確認の記録と担当の説明を照合します。実施不足、記録不足、ST2の適用外を別の対応へし、主任が再確認する資料と日を決めます。数値と記録は教材の架空条件です。
不足の種類に応じて担当と完了の証拠を指定します。
05 / 業務改善
点検結果には何を残す?
見た資料、実施事実、未確認、修正対象を分けて記録します。
点検結果に「問題なし」とだけ残すと、次の担当はどこまで確認したか分かるでしょうか。図の確認した範囲には見た手順と記録を示し、未確認の範囲は問題なしに含めません。Q8で説明できることと、Q9でなお足りない証拠を分けて記します。

ST2の版と対象期間、Q8・Q9の原記録、担当の説明、確定した事実、未確認、対応担当と再確認方法を残してください。EPAの資料は手順や記録、点検責任を整理する参考です。この架空例から法的・認証監査の合格や製品の合否を決めるものではなく、対象外の工程も点検済みにはできません。
報告は合格件数だけでなく、どの手順と記録を見たか残します。確認しなかった工程まで問題なしと広げないためです。
EPAのSOPガイダンスは手順の確認と監査の責任・結果の扱いを説明します。認証監査の合格や自社の品質成果として転用しません。
再確認は前の不足と、影響する通常例を対象にします。点検の指摘を消すだけでなく、修正後の仕事を説明できるかを見ます。
見た資料、実施事実、未確認、修正対象を分けて記録します。
この章の根拠:出典1
06 / 業務改善
まとめ:基準と証拠の不一致を分ける
二種類の記録で、手順の確認事項と実施証拠を対応させてください。
自社の手順を一つ選び、実施を説明する記録を示せますか。図の基準、判定、次の行動を順にたどります。菊製本なら、ST2の20枚・O8と再加工後の確認を、通常Q8と再加工Q9それぞれの記録へ対応させます。

ST2、Q8・Q9、O8、20枚は架空の教材で、実際の製品検査や修正成功の証拠ではありません。自社では説明できる範囲と足りない根拠を分け、担当と次に見る資料を決めてください。分からない箇所を具体的に残せば、次の担当も同じ事実から確認を続けられます。
菊製本は枚数照合と再加工後の確認を記録へ結び付けます。記録がない場合の未確認を、実施していない事実へ勝手に変えません。
不足は実施、記録、標準へ分け、主任と品質担当が修正と再確認を指定します。対象外の工程を点検済みとは扱いません。
自社の一手順を選び、何を見れば実施を説明できるか書いてください。判定基準を固定してから記録を照合します。
二種類の記録で、手順の確認事項と実施証拠を対応させてください。
仕事の流れから、顧客との接点まで。
一体で見直す、最初の一歩を。


